2016.06.09

男子グレコローマンのオリンピック・チームがポーランド遠征へ出発

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 男子グレコローマンのオリンピック代表チームが6月8日、成田空港発の日本航空でポーランドへ向けて出発した。欧州数ヶ国が集まる合宿に参加したあと、18日(土)~19日(日)に で行われる「ピトラシンスキ国際大会」に出場する。

 59kg級代表の太田忍(ALSOK)と66kg級代表の井上智裕(三恵海運)のほか、若手選手2人も参加した。

 豊田雅俊監督(警視庁)は「今まで積み上げてきたものを、練習と合宿で出してほしい。外国の選手はリフトがうまい。日本選手相手では練習できないリフトの防御をしっかり練習してきたい。タイミングやパワー、瞬発力など日本選手にはないものを肌で感じて、本番へ向けていい練習をしてほしい」と、日本では経験できない練習を注文。

 2人ともスタンドの攻防はすばらしいものを持っているので、グラウンドの防御がワンランクアップし、自信を持つことができれば、「間違いなく世界のトップ3には入れる」」と言う。

■ルール確認が課題の太田忍、井上智裕は出し惜しみなく技を出す!

 太田は「収穫のある遠征にしたい。試合では、がぶり返しがどこで(反則とみなされて)止められるかを確認し、スタンドで立ち上がってくる選手の対策などをやりたい。がぶり返しは(自分の)生命線です」と話し、明確なテーマを持っての参加。

 「手の内を隠しながら、というわけではないが、ここが本番ではない。研究されて本番で闘いづらくなっては意味がないし、けがしても意味ない」と話し、試合の結果以上に、オリンピックで勝つための練習に徹する腹積もりだ。

 3月のアジア予選(カザフスタン)では、前回のオリンピック王者(ハミド・スーリヤン=イラン)を破り、周囲からのマークも変わっていると思われるが、「現役の世界王者に勝っているわけではない。自分の中ではあまり感じていない」とサラリ。

 井上は「合宿で、ふだんできない欧州の選手相手にオリンピックで使いたい技を試したい。研究はされるが、それを恐れずにやらないと、本番では使えない」と、太田とは対照的に出し惜しみすることなく挑む予定。

 アジア予選では太田と同じくロンドン王者(オミド・ノルージ=イラン)を破っており、マークがきつくなると思われる。しかし、「研究される不安は?」との問いには、「技のレパートリーがないので、そんなことしたら何もできません」と苦笑いし、「研究されてもかかるような技を身につけたい。欧州の選手はリフトが強いので、それに対応できる守りの強さを身につけ、本番でも守れるようにしたい」と言う。

 階級区分変更前は74kg級で闘っていた選手で、その後、66kg級に落とした選手。外国選手対策として筋力トレーニングをすると、どうしても体重が増えてしまう。それでも体脂肪は5%台に抑えており、コンディショニングには自信を見せる。

 オリンピック選手になったことで取材も多くなり、「慣れないことで」と戸惑うことも多かったが、その分自覚もついた様子。心身とも充実してポーランドへ、向かった。

 遠征チームは下記の通り。


 ◎役員

 【監督】豊田雅俊(警視庁)、【コーチ】笹本睦(日本協会アシスタントコーチ)

 【トレーナー】近敏成(ハンズコーポレーション)

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 ◎選手

 【オリンピック代表選手】
▼59kg級 太田 忍(ALSOK)
▼66kg級 井上智裕(三恵海運)

 【若手選手】
▼59kg級 文田健一郎(日体大)
▼66kg級 下山田培(日体大)