2016.06.07

【関東高校選抜大会・特集】全国高校選抜大会とJOC杯の悔しさをばねに、山口海輝(千葉・日体大柏)が初優勝!

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

 “スーパーコーチ”招聘で実力アップ! 関東高校大会の男子フリースタイル55kg級は、昨年の和歌山国体の1年生王者、山口海輝(千葉・日体大柏)が準決勝で全国高校選抜大会50kg級王者の阿部敏弥(東京・帝京)に16-11で逆転勝ちし、決勝では土屋佑斗(埼玉・花咲徳栄)に11-0のテクニカルフォールで圧勝。初優勝を飾った。

 山口は今年3月の全国高校選抜大会では決勝で谷山拓磨(京都・京都八幡)に敗れて2位。4月のJOC杯も決勝で阿部に敗れて2位とタイトルを獲れずにいた。

 山口は「選抜、JOC杯と、いい動きができなくて、今回も不安がありました。正直、僕はそこまで気持ちが強くないので、また闘うことを嫌だなと思ってしまいました」と、準決勝で阿部と再度闘うトーナメントを見た時の感想を振り返った。

■元全日本王者の森下史崇コーチの加入で成長

 その不安要素を吹き飛ばす救世主が現れた。2014年アジア大会(韓国)代表で、全日本選手権を3連覇し日本のトップ選手だった森下史崇が同校に講師として赴任し、砂川航佑監督とともにレスリング部の指導を任されることになった。

 山口は「森下先生や砂川先生といっぱい練習してきたので、JOC杯の時よりはいい動きができるようになってきた」と、努力を振り返る。

 それでも、やはり阿部は強かった。バックを取られて先制を許し、連続ローリングで大量失点。0-8と追い込まれたところで第1ピリオドが終了した。「心が折れて、勝負をあきらめかけてセコンドに戻ると、砂川先生が『まだいける! 取り返せる』と励ましてくれたことで頑張れました」。

 山口は第2ピリオドに立ち直り、差しからグラウンドに持ちこむと、連続アンクルホールドで逆転勝利をつかんだ。

 心が折れたところから気持ちを盛り上げられたのは、セコンドの砂川監督もそうだが、普段の練習で森下先生とスパーリングを積み重ねてきたことも大きかった。「毎日の練習でボコボコにされて、でも、あきらめずに森下先生と練習をやってきたことがよかった」。ふだんのスパーリングでも、圧倒的にやられても気持ちを投げ出さずに向かっていく経験が試合に生きたようだ。

 強敵を倒して久々の“優勝”を味わったが、山口は「この優勝で満足はしない」ときっぱり。得意のアンクルホールドは現在2種類あるようだが、「もっと練習して、もっとバリエーションを増やしていきたい」と、夏に向けて更なる進化を誓っていた。