2016.06.06

アジア・ジュニア選手権(フィリピン)出場の女子と男子グレコローマン・チームが帰国

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 フィリピン・マニラで行われたアジア・ジュニア選手権に出場した男子グレコローマンと女子のチームが6月5日、成田空港着の日本航空で帰国した。

 3階級で優勝し、国別対抗得点で優勝した女子の藤川健治監督(自衛隊)は「団体優勝できてホッとしています」と第一声。女子は昨年、シニア、ジュニア、カデットの世界選手権とアジア選手権、ワールドカップの主要7大会のすべてで団体優勝する“グランドスラム”を達成。その勢いを止めるわけにはいかなかったからだ。

 「今年もすべての団体戦で優勝するための勢いはつけられたと思います。ここで頑張ることが、オリンピックでの勝利につながっていくと思っていたので、優勝できてよかったです」と喜びを表した。

 しかし、昨年の5階級制覇から優勝選手の数を落としてしまったことは事実。「中国選手相手に接戦をものにできないことがあったのが原因。今後の課題です。泥くさい試合でもいいから、もっとどん欲に勝ちにいってほしかった」と、一部の選手に苦言を呈した。選手には「1点の重みをしっかり伝えた」という。

 女子63kg級で3年連続優勝を達成した源平彩南(至学館大)は「やはり3連覇ということで緊張していましたので、ホッとしました」と振り返る。

 昨年12月の全日本選手権や前週の全日本選抜選手権では決勝の舞台に上がるなど、ハイレベルの日本のシニアでも台頭している成長株。アジアのジュニアなら勝って当然とも思えるが、一昨年や昨年は感じたことのなかった外国選手のパワーを今年は感じるなど、周囲も強くなっている。

 3試合のうち、2試合は判定にもつれるなど、ディフェンディング・チャンピオンといえども簡単に勝たせてもらえないのが勝負の世界。「必死でした。本物の実力をつけなければなりません」と言う。今後の課題は「もっと自分から攻めてポイントを取りにいけるようにしたい」と言う。

■スタンド中心のジュニアのグレコローマンだが、グラウンド技術も必要

 男子グレコローマンは銅メダル2個獲得で、昨年の「銀1・銅3」を下回ってしまった。飯室雅規監督(自衛隊)は「暑いところで調整が大変でしたが、早めに現地入りさせてもらい、コンディションづくりはしっかりできていた。それだけに残念でした」と無念の表情。

 しかし一昨年はメダルがなく、2011年から昨年までの5年間でメダルなしの年が3回あるなど勝ち抜くのは容易でないのも事実。その中でメダル2個獲得は、振り落とされることなくついていったと言えるだろう。

 ジュニアでは、昨年5月にコーションでのパーテールポジションの選択が廃止された。スタンド戦の比率が高くなってから1年以上が経過し、新ルール下での練習の成果が試される年でもあるが、当然のことながら、「差し、押しが強く、攻めることのできる選手が強い」というのが現実だった。

 しかし、その中でも、テークダウンを取られてグラウンドで一気にテクニカルフォールにもっていかれた選手もいた。「スタンド中心とはいえ、グラウンドの練習もおろそかにはできない」と、シニアとルールが違う中での練習の指針も見つけた様子だ。


 ■女子48kg級優勝(2連覇)・加賀田葵夏(青山学院大)「1回戦の中国は去年もやった選手。その時は負けそうな試合でしたが、今回はテクニカルフォールで勝てました。去年よりは力をつけたかな、と思いました。決勝は危ないところもありましたが、3試合を通じて、次につなげられる試合だったかな、と思います。

 でも、去年も今年も、クイーンズカップで負けてこの大会に出たわけで、優勝はうれしいのですが、国内で勝っていないことが引っかかります。(明治杯で負けた)須崎選手にもリベンジしないとならない。全日本選手権で勝つことを目標に頑張ります」

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 ■女子44kg級優勝・佐藤雛子(東京・安部学院高)「初めての国際大会で緊張しました。国内ではあまり緊張することはなかったのですが、今回はとても緊張しました。その中で優勝できてよかったです。緊張した中でも、自分の持っている力を全部出せたことが勝因だと思います。

 初めて海外で試合ができ、いい経験でした。今後は、(クイーンズカップは2位だったので)まず国内で1位になることが目標です」