※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子) 2階級制覇の三輪優翔(和歌山・和歌山北)
昨年は地元和歌山で国体があり、県をあげての強化が実った年。三輪は、1学年上で頼れる先輩だった吉田隆起とともに全国の頂点に上り詰め、2年生ながら高校2冠を手に入れた。一方でインターハイでは表彰台にも昇れなかった。三輪は「去年は(成績が)上がったり下がったり。一番取りたかったインターハイで負けて悔しかった」と、安定した強さを見せることができなかったことを悔やんだ。
今シーズン、三冠王に輝いた吉田先輩の後を継いで三輪が和歌山北のキャプテンに就任。今度は自分がチームを引っ張る側となった。昨年のこの大会で和歌山県勢初となる学校対抗戦3位がきっかけとなり、チーム全体が団体と個人の双方での「優勝」を目標に練習を積んできた。
昨年の吉田主将はぐいぐい引っ張るタイプだったのに対し、三輪は「おとなしくて優等生タイプ」(森下浩監督)。和歌山北は違った雰囲気のもと、一致団結して優勝を目指していた。 決勝でエビ固めを決め、鮮やかなフォール勝ち。
森下浩監督は「団体戦で負けた悪い流れが、今回もそのまま出てしまったね。準決勝までの内容はよくなかった」と、個人戦で優勝した三輪の出来具合に100点は出さなかった。昨年のインターハイも本気で狙った学校対抗戦で負けたショックを個人戦に引きずって敗退した過去がある。「今回は主将で臨んだ大会。責任を感じてしまったのかもしれない。けれども、その状況でもちゃんと優勝したことが成長」と、決勝をまとめあげたことは評価した。
74kg級は昨年、吉田が三冠を達成した階級だ。今年三輪が三冠王になれば、この階級は2年連続で和歌山北の選手がタイトルを総なめすることになる。三輪は「昨年は春から夏まで少し気持ちの緩みがあったのかもしれない。今年は油断を絶対せず、ずっと1番のままでいきたい」ときっぱり。
今大会ベスト8に終わった学校対抗戦についても、「新入生で50kg級の選手が入りそう。夏はまた7人で闘えそうなので、夏こそ団体と個人の両制覇を目標に頑張りたい」と抱負を話した。