2016.02.13

元世界王者ら強豪2選手がアジア選手権に参加…アジアの新たな敵となるか、バーレーン

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 ペルシャ湾に面するバーレーンがアジアの新たな敵となる可能性が浮上した。バーレーンのレスリングは、これまで強国とは言い難く、世界選手権はおろか、アジア選手権・大会での上位入賞もなかった。

 しかし、2月17日からタイ・バンコクで行われるアジア選手権に、エジプトとロシアから国籍を変えた世界的な実績を持つ2選手がエントリー。同国がレスリングの振興に力を入れている現実が明らかになった。

 エントリーした一人は男子グレコローマン98kg級のモハメド・イブラヒム・アブデルファタ。エジプトの選手として2000年シドニー・オリンピック85kg級に出場して8位入賞。2004年アテネ・オリンピックでは審判に暴言を吐いて失格処分となったが、2006年世界選手権(中国・広州)の84kg級で優勝。同国から45年ぶり3人目の世界王者に輝いた(オリンピックを含めると5人目)。

 2008年北京オリンピック出場は逃したが、2012年ロンドン・オリンピック96kg級で3度目のオリンピック出場を果たし(初戦敗退)、その後、選手活動は停止したもよう。

 しかし2015年に国籍をバーレーンに変え、同年のアジア選手権130kg級に出場して7位。今年は、今月のハンガリー・グランプリに出場し、初戦で斎川哲克(栃木・足利工高教)を破って11位となった。38歳という年齢からして、オリンピック出場枠獲得は難しいものがあると予想されるが、世界王者経験者だけに、あなどれない存在となろう。

 もう一人は、男子フリースタイル70kg級に出場するアダム・バティロフで、ロシアから国籍を変えた31歳。2001・02年の欧州カデット選手権優勝を皮切りに、2003年世界ジュニア選手権で2位へ。ロシアの層の厚さの前に、なかなか世界選手権の代表にはなれなかったが、ヤリギン国際大会(ロシア)の優勝や欧州選手権のメダル獲得、ワールドカップ代表などの実績を重ねた。

 2011年のヤリギン国際大会では、アジア大会王者として臨んだ米満達弘(自衛隊)を決勝で破った。同年に世界選手権(トルコ・イスタンブール)に初出場して5位に入賞。しかしロンドン・オリンピック出場はならなかった。今回が国籍変更後、初の国際大会となる。

 今後も他国の強豪を迎え入れる可能性があり、要注意が必要な国となありそうだ。