※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=樋口郁夫) 日体大選手の試合を見つめる松本慎吾監督(写真上部中央)
先月の全日本大学グレコローマン選手権は4階級で優勝し、優勝選手の数で最多だったが、取りこぼしの階級があって拓大に4・5点差の2位。今大会はどの階級も上位に入ったものの、わずかに足りなかった。だれか1選手が順位を上げていれば団体優勝だっただけに、松本慎吾監督は「悔しいですね。これまでにない悔しさです」と振り返った。
かつての常勝チームとして、このまま団体優勝に見離されるわけにはいかないが、松本監督は、こうした状況であっても学生の大会で勝つことを目標にするつもりはない。
「ウチは世界を見据え、世界で勝つことを目標にやっている」と強調。来年へ向け、「OBを含めて多くの選手が全日本選手権で勝ち、オリンピック出場枠を取り、オリンピック代表を決めたい。それが来年のリーグ戦、そのあとの団体戦での勝利につながる」と話し、高い目標のもと、OB選手を含めた全体の強化の中での巻き返しを口にした。
今年の世界選手権の男子代表16人の出身・在籍大学は、日体大が6人で最多。全日本レベルでは依然として“与党”の立場にある。監督に就任した時から掲げていた「世界を見据えた強化」「団体戦三冠達成」の目標はぶれていない。オリンピック選手輩出とともに、学生選手の奮起が望まれる2016年だ。