※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子) 藤波勇飛(山梨学院大)
結果は思い通りになった藤波だったが、試合内容はその通りにいかない部分も。「無失点で優勝したい」と挑んだが、2回戦の坂本侑之(拓大)に失点。「これ以上は失点できないと」と気合を入れたことで、準決勝の阿部宏隆(国士舘大)戦は攻め急いでしまった。
序盤に阿部のカウンター攻撃でバックを許すと、連続ローリングで失点。6点を追う展開となってしまった。「これ以上は失点できないという思いで、切羽詰まっていた。大学生の大会でここまで差がついたのは初めて。一瞬、負けることも頭によぎりました。ここで負けていたら、全日本選手権で勝つとか言っていられない」。 決勝で闘う藤波
決勝の相手は、インカレ王者の原田が相手。藤波は世界ジュニア選手権に出場したため、その大会は欠場していた。「インカレ王者とどれくらいできるのか試してみたかった」と今度は空回りせず、のびのびと試合を展開。終始前に出て原田を追い込んだ。途中、原田にバックポイントを奪われたが、気にせずにタックルなどで追加点を挙げ、3分13秒でテクニカルフォール勝ち。「インカレ王者に快勝できてよかった」と笑顔を見せた。
大会前は、体重増加によって階級を上げるうわさも飛び交った。今回の減量は7kgと決して楽ではない。だが藤波は「当面は65kg級でリオデジャネイロも東京も目指します。12月の全日本選手権は、多くの選手が目の色を変えて挑んでくるので、その中で一番になれるように頑張りたいです」と決意表明をしてくれた。