※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
総合格闘技へ活路を求めた元世界王者のアミール・アリアクバリ(イラン)=撮影・保高幸子
10月31日にタイ・バンコクで行われた「Full Metal Dojo7」のメーンイベントで韓国選手相手にデビュー戦に臨み、マウントパンチ(ダウンした相手に上から振り下ろすパンチ)の連打で秒殺勝利をおさめた。レスリングの世界王者の体力と格闘能力を感じさせる圧勝だったという。
日本でも有名な総合格闘家のマーク・ハント(ニュージーランド)らの指導を受けて臨んだアリアクバリは、「総合格闘技へ挑んだ理由のひとつは、イランにおける総合格闘技のパイオニアになれるからだ。イラン国内では総合格闘技は行われておらず、認知度も低い。だからこそ挑んだ。もし、イランのだれかがやっていたら、やろうという気持ちにはならなかったと思う」とコメント。
「私が取り組むことで、続く選手が出てくる。イランに総合格闘技を根づかせたい」と話し、いずれは総合格闘技の一大イベントである米国UFCの王者になることを夢見ているという。
アリアクバリは世界ジュニア王者やアジア王者を経て、2010年世界選手権(ロシア)の男子グレコローマン96kg級で優勝。しかし、ドーピング違反によって2011年7月から2年間の出場停止処分を受け、ロンドン・オリンピックは出場できなかった。
復帰して3ヶ月後の世界選手権(ハンガリー)120kg級で優勝したものの、アナボリックステロイドに陽性反応を示して失格。2度目の違反により、規定で国際レスリング連盟(FILA=現UWW)から永久失格となった。