2012.02.15

グレコローマン3選手、フリースタイル1選手が欧州から帰国

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

欧州から帰国した前田(前)、天野(後)

 1月下旬から欧州遠征していたグレコローマン3選手と、トルコの大会に出場したフリースタイル1選手が2月14日、成田空港着のトルコ航空で帰国した。

 グレコローマンは74kg級の鶴巻宰(自衛隊)、84kg級の天野雅之(中大職)、96kg級の斎川哲克(両毛ヤクルト販売)の3人の全日本チャンピオン。トルコでの大会出場のあと、ハンガリーで欧州数カ国の選手と合同合宿。11~12日の「ハンガリー・グランプリ」に出場した。

 大会でメダルを取った選手はいなかったが、元木康年コーチ(自衛隊)は「ヨーロッパは日本と逆で中量級から重量級にかけて選手が多く、強豪がそろっている。3人ともいい練習ができた。今回の大会で結果は出なかったが、これからの練習が大事。ここで学んだことを本番で生かしてほしい」と話した。

 ルールが変わり、1分30秒の段階でどちらかでもポイントを取っていればグラウンドの攻防はなくなった。先に軽量級の2選手(長谷川恒平、松本隆太郎)と帰国した伊藤広道監督は「グラウンドが本当に強い選手は、グラウンドの攻防を狙ってスタンド戦では仕掛けてこない」という一面を報告してくれたが、元木コーチは「グラウンドが本当に強くない選手は、(グラウンドの攻防がないように)スタンドで仕掛けてきます」と説明する。

 「やっぱりスタンドの比重が増えてくると思います」と話し、今後の練習では「スタンドの攻防に力を入れる必要があると」と説明した。

グレコローマンの元木康年コーチがさらなる飛躍を要望

 フリースタイルで遠征したのは、60kg全日本チャンピオンの前田翔吾(ニューギン)。昨年の世界選手権の米国代表に敗れて1試合だけで終わったが、井上謙二監督(自衛隊)は「タックルに入ってからの処理がもたついた。試合でこそ分かる欠点。この経験を無駄にしてはならない」と話した。

 全日本チームは今月22~29日に今年3度目の合宿を行い、3月8日から約2週間の合宿を行い、五輪アジア予選(3月30日~4月1日、カザフスタン・アスタナ)へ挑む。


 グレコローマン74kg級・鶴巻宰「情けない試合をしてしまった。(2試合4ピリオドすべてが0-1だが)押されて、押されての内容。力の差を感じた。しかし(84kg級出場だったので)減量のない状況で思い切った練習ができたので、収穫はあった」

 グレコローマン84kg級・天野雅之「今回、初めて試合~合宿~試合という遠征を経験した。最初の試合で欠点を見つけ、合宿で取り組み、最後に試合で試すことができて有意義な遠征だった。最初の大会では外国選手の力強さを感じたが、合宿を経験したことで、最後の大会で慣れた気がした。(五輪予選へ向けて)光が見えた」
 
 グレコローマン96kg級・斎川哲克「久しぶりの全日本チームの遠征でした。個人での遠征に比べると、コーチが気がついたことをいろいろアドバイスしてくれ、ためになることが多かった。(96kg級全日本王者としては初の遠征だが)これまでにもデーブ・シュルツ国際大会とか96kg級で出た試合もあったし、特にどうということはなかった。次につなげたい」

 フリースタイル60kg級・前田翔吾「全日本選手権のあと、コーチに言われていた課題がそのまま出た試合だった。スランプの時の自分に戻ったようで悔しいとしか言いようがない。1選手だけであっても海外遠征を認めてもらったのだから、このままで終わるわけにはいかない。オリンピックで今回の悔しさを晴らすべく、プレーオフに全力を尽くします」