※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 世界選手権のVTRを見て研究する男子グレコローマン・チーム
世界選手権代表メンバーとターゲット選手、「大学生以上でオリンピックを目指している人」という条件で参加選手を募り、約50名が参加した(75kg級の金久保武大は所用のため欠席)。
合宿に先立ち、日本協会の馳浩副会長があいさつ。8階級に出場して1勝9敗という成績だった世界選手権の結果を受け、「今日は代表選手の試合のビデオを見てもらって、どこが悪くてポイントが取れなかったのか、どんな動きをすればよかったのかを学んでほしい。だれも出場権をとれなかったということは、来年に向け、若手、ベテラン全員にチャンスがあるということ。気持ちをひとつにして、ビデオ研究をしながらどういうレスリングを目指すべきか考えてきましょう」と話し、選手を激励した。
続いて西口茂樹男子グレコローマン強化委員長が、某スポーツ新聞に掲載された「グレコ不要論」の記事を配布し、「これが世論。(厳しい内容の記事だが)頑張ればこの世論は消える。けれども、この記事の内容を『自分とは何も関係がない』と思っていたら、本当にグレコローマンはなくなる」と選手に危機感を持つように促した。 日本のグレコローマン消滅危機の記事のコピーが配られた
約2時間にわたって、59kg級の田野倉翔太(クリナップ)の試合から130kg級の園田新(拓大)の試合まで世界選手権の全代表の試合を見て、時折、西口強化委員長がコメントを入れ、笹本睦コーチが対処法を実演。また、いいサンプルとなる外国人同士の試合も何試合かピックアップして研究した。
ビデオ研究を終えて、西口強化委員長は「あと半年で結果を出すためには、毎日2時間の練習では足りないというのが結論です。田野倉が学生時代に強くなるため、練習開始の1時間半前に道場に来て練習していたように、(プラスで練習を)しなければならない。しなければ勝てないです」と、各選手に練習量を増やすように指示。
練習方針については、「所属がどうのと言っている場合ではない。教えてほしいと言ったら、喜んで教えるので、手を伸ばしてほしい」と、有望な選手は所属を超えて指導することを誓った。