※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
サラエボから帰国した男子フリースタイル・チーム
江藤正基監督(JOCエリートアカデミー・コーチ)は「基山(仁太郎=58kg級)のように初出場で成績を残した選手もいたが、平均的に2度目、3度目の出場の選手が好成績を残した。あと、減量があっても、体格的に外国選手にひけを取らない選手が活躍できた。経験があって、体格・筋力が十分な選手でなければ、なかなか世界では勝てないのが現実」と現状を分析。
その中でも選手の闘争心は評価した。シニアでは、ロシア、アゼルバイジャン、イランなど、ともすると相手の国の名前に負けてしまうケースもあるが、「そうしたことはなかった。変な知識を持っていないからなのか、どの国の選手が相手でも全力でぶつかっていく気迫はあった」と言う。
優勝した乙黒の闘争心もすごかったそうで、全体でロシアが強さを見せた中で、そのロシアを相手にしての優勝。「館内が最高に沸いた。見ている人も感じるものがあったからだと思う。優勝した時と、館内から大歓声をもらった時と、2度の感激を味わうことができた」と満足そうに話した。 チームの解団式
江藤監督が1983年の世界選手権で優勝した時の決勝の相手がソ連の選手。「ロシアを破って日の丸が真ん中を揚がっていくシーンを見たら、32年前を思い出しました」と言う。
高坂拓也コーチ(埼玉・花咲徳栄高教)は「優勝のシーンは感激した。負けた選手も、そう大きな差があるわけではない。日本のよさ、構えと組み手と崩しがしっかり貫ければ、上へ行ける選手もいた」と振り返った。江藤監督と同じく経験の必要性を指摘し、「やはり中学生の2選手はあたふたしていました。場数を踏むことが大事ですね」と言う。
日本では、ほとんどの大会が単純トーナメントで行われるが、今大会は敗者復活戦のあるトーナメント。「慣れていなかったです。まあ、一回経験すれば、次は大丈夫でしょうけど」と、負けて、そのあとにも試合をする経験も必要と訴えた。
メダル獲得選手。左から梅林、乙黒、基山。
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■58kg級2位・基山仁太郎(三重・いなべ総合学園高)「優勝したかったので、悔しい。決勝はタックルを取り切れなかった。全体としては自分の動きができ、初めての世界大会だからといって変わることはなかった。イランとかの(平均的に強い)国が相手でもおじけづくことはなく、自分の動きをすれば勝てると思って闘った。来年へ向けて、組み手からのタックルを鍛えていきたい。まず(今月末の)国体で優勝し、来年はこの大会で優勝する。将来はオリンピックで勝つことが目標です」
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■69kg級3位・梅林太朗(JOCエリートアカデミー/東京・帝京高)「去年が3位だったので、今年は金メダルを狙っていた。悔しいです。ただ、江藤監督、高坂コーチ、竹内トレーナーほか支えてくれる人がいたので、最低限メダルをと思っていた。それができたことはよかった。(負けたロシア戦は、6-6からタックルへ行き、相手のタックル返しが優勢で4失点。しかし、自分のポイントと思ってしまった)気がついた時は遅かった。冷静さが足りなかった。これも実力です。だれが見ても自分のポイント、という技をかけられるようにし、世界一を目指して頑張りたい」