2012.02.06

全日本学生選抜チーム米国遠征 中間報告(2)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影:吉本収コーチ=米国コロラド州コロラドスプリングズより)


 【2月2日(木)】=フリースタイル計量日

 目が覚めると窓の外には雪が積もっていた。外に出るとかなり寒い。

 現地到着後4日目となり、選手もここの生活が慣れてきたよう。ただ、時差ぼけが続いている。今日も午前9時半から練習開始。各自での調整となった。2kgオーバーでの計量であるため体重調整は問題なく、練習後の体重は全員が規定を下回っていたしていた。グレコローマンは、明日が計量のため、各自で息を上げる練習をおこなった。

 午後2時からメディカルコントロールで、2時半から計量。全員がパス。明日は全力で臨むのみ。

 この日は、女子レスリングが行われており、米国在住で元米国女子ナショナルチームコーチの八田忠朗さん(故八田一朗会長の次男)と、今大会の冠となっている故デーブ・シュルツ氏の実母とお会いした。滝山将剛団長の故デーブ・シュルツ氏との思い出話で盛り上がった。

コロラドスプリングズに雪が降った。

故デーブ・シュルツ氏の母が会場に来場


 【2月3日(金)】=フリースタイル試合、グレコローマン計量日

 今日も雪が降っていた。空気が澄んでいるため、降る雪が太陽の光で輝いて見える。

 午前9時から試合開始。米国国歌が流れただけで、すぐに試合が開始された。参加国は、アメリカ(各クラブチームで、NYAC、サンキストキッズ等、約10チーム)、日本、ギリシャ、ブルガリア、カナダ、インド、ロシア、イタリア、オランダ、キルギスタン、メキシコ、スペイン、ドイツ、エジプト等。

 当初の予想通り、高地のため、試合でかなり息が上がる。しかも、非常に空気が乾燥しているため、喉が異常に渇く状態の中で戦った。他の外国選手もきついようであった。選手は学生日本代表として果敢に挑んだが、外国人選手のパワーに押されて自分の実力を出せない選手やスタミナ面で力尽きる選手が見られた。

大会会場

 この中でも、55kg級・高安(日体大)、74kg級・高谷(拓大)、84kg級・山口(早大)が準決勝に進出、3階級決勝進出か? と期待されたが、残念ながら全員敗れ、敗者復活戦に回った。この大会は米国式の敗者復活戦であるため、全ての出場選手が負けたあと復活戦に回る。準決勝の敗者でも、敗者復活戦を勝ち抜いてきた選手に勝たないと3位決定戦に出ることができない。

 日本の55kg級は2選手が出場しており、2回戦のインド戦を落とした半田(専大)が敗者復活戦2試合を勝ち抜き、敗者復活戦へ回ってきた高安と3位決定戦進出をかけて対戦。全日本大学選手権決勝での対戦では接戦だった両者だが、今回も接戦の末、半田のがぶりからの脚取りが決まり判定勝ち、3位決定戦へ進出。

 相手は米国NYACの選手。第1ピリオドはタックルを決めて2-0。第2ピリオドはがぶりからバック、アンクルホールドを連続で決め2-0で勝ち、3位となった。

 84kg級の山口(早大)は1回戦がBYE、2回戦が米国選手にフォール勝ち。3回戦も米国選手に2-1で勝って準決勝へ。ここでの米国戦を0-2で落としたが、敗者復活戦で米国選手に両差しから倒してフォール勝ち。3位決定戦はインド選手にスタンドから牛殺しを決め、第1ピリオド42秒でフォール勝ちし、3位となった。

 全日本王者でもある74kg級の高谷(拓大)は米国選手3人に勝ち準決勝へ。2010年世界選手権代表選手に0-2で敗れて敗者復活戦へ。ここでロシア選手に2-0で勝って3位決定戦に進出したが、米国選手相手に第1ピリオドはクリンチを切られ、第2ピリオドはクリンチを切ることができず、惜しくも敗れた。

 最終的に日本は銅メダルを2つ獲得し、健闘を見せた。(戦績詳細

 この大会は、故デーブ・シュルツのメモリアル大会であるため、決勝・3位決定戦の前には、母親と奥さんに対するセレモニーが行われた。グレコローマンも全員計量を通過した。明日もメダルに期待したい。

55kg級の準決勝で闘う高安

55kg級銅メダルの半田

3位決定戦でフォール勝ちした山口

銅メダルを手にした山口

決勝進出を目指して闘う高谷だが、無念の黒星

3位決定戦で闘う高谷