※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫) 男子フリースタイルで西日本からのべ7人目の王者となった有元伸悟(近大)
決勝で対戦した乙黒圭祐(山梨学院大)は6月の全日本選抜選手権初戦でテクニカルフォール勝ちしている相手。試合はその乙黒に不意を突かれ、いきなり大量6失点をする苦しい立ち上がりとなった。「びっくりした。相手もかなり考えてきていると思った」という有元は、同時に「普通にやれば問題ない」とすぐさま気持ちを立て直し、その後は着実にポイントを積み重ねて逆転した。
大阪の名門、吹田市民教室でレスリングを学び、小学生時代に全国優勝2度、中学時代も1年生と3年生で全国大会を制覇した逸材。高校では転校を経験した影響もあり、タイトルには恵まれなかった。
自宅から通える地元の近大に進学してからは、中学、高校と競り合ったライバルたちが進んだ東日本勢に対抗心を燃やし、「西日本からの王者となる」という気持ちを大きなモチベーションとした。 優勝を決め、長尾武沙士コーチと抱き合う
最上級生となり、ようやく悲願を達成した有元は、西日本の底上げと同時に母校・近大の躍進も夢見ている。今季の西日本学生春季リーグは5位に終わり、近大の強化は夢半ば。「次は近大が強くなってほしいという気持ちが強い。自分は近大で楽しくやらせてもらっている。和気あいあいとした雰囲気の中でも強くなり、自分が活躍することで、近大に入りたいという高校生が増えてくれたらうれしい」と有元。
これからも東日本勢と激しいバトルを繰り広げ、チームと自らの実力をアップさせていくつもりだ。