※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=渋谷淳) グレコローマンで2大会連続優勝の岡嶋勇也(拓大)
すっかり“グレコローマンの選手”という印象ができた岡嶋だが、本来はフリースタイルの選手。昨年の全日本大学グレコローマン選手権は、チーム事情によって約1ヶ月間の猛練習を積んで出場し、いきなり優勝する快挙を成し遂げた。グレコローマンはこれっきりのはずで、今大会も当初はフリースタイルのマットにだけ上がる予定だったが、監督のアドバイスもあって急きょエントリーした。
岡嶋は「けがをしないことを第一に考えた。フリースタイルに勢いがつけば」という気持ちだったという。この日は試合後にフリースタイルの計量があるため、「朝からバナナとカロリーメイトと水分くらいしか摂れなかった」という苦しい状況。それでも昨年優勝の選手を含めて“本職”の選手を次々と下して優勝をさらったのだから、立派というほかない。
滋賀・栗東高から拓大に進み、フリースタイルでJOC杯2位、アジア・ジュニア選手権出場などの実績を残しながら、2年生で前十字じん帯を断裂。半年間のブランクを作るなど苦労を味わった。 グレコローマン専門の選手に引けをとらなかった岡嶋(青)
自覚を増した4年生は、5月の東日本学生リーグ戦でポイントゲッターとして活躍。山梨学院大に優勝を譲ったもののチームは2位。自身は優秀選手賞を受賞した。
インカレのグレコローマンを制したことで、今季も9月の全日本大学グレコローマン選手権に出場するようチームから指示が出た。しばらくはグレコローマン中心の練習になるが、あくまで本職たるフリースタイルで活躍する気持ちに揺るぎはない。
「グレコで結果を出せたので、今度はフリーでぜひ結果を出したい」。12月の全日本選手権にもフリースタイルで出場するつもりだ。