※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫) 大けがを乗り越え学生チャンピオンに輝いた矢後佑華(日大)
「落ち着いてできた」という決勝も、伊藤史織(至学館大)を9-0と寄せつけずに優勝。「インカレは1年生の時が初戦敗退で、2、3年生の時は(けがで)出場できなかった。縁がないと思っていたけど、最後の大会で勝ててうれしい」と喜びを口にした。
東京・安部学院高時代から同世代のトップ選手として活躍し、日大に進んで2012・13年にはアジア・ジュニア選手権を連覇。同年のゴールデン・グランプリ決勝大会も制し、将来を嘱望された矢後だった。このあと、まさかの落とし穴が待っていた。満を持して出場したこの年の全日本選手権、準決勝で左肩を負傷。これが手術を要する大けがとなり、1年半に及ぶブランクを作ってしまったのだ。 決勝で闘う矢後
「今年は何が何でも、という気持ちだった。結果が出せてうれしい」と語る口調にも自信が感じられた。
長くけがに悩まされたが、復活を遂げた今、残り少なくなった学生生活でこれまでのうっぷんを晴らそうとしている。「天皇杯(全日本選手権)を獲りたい」-。次なるターゲットを12月の全日本選手権に据えた。