※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=保高幸子) メダル獲得選手。左から多胡島伸佳(早大)、文田健一郎(日体大)、中村倫也(専大)。
5試合を勝ち抜き国際大会で初の優勝を達成した男子グレコローマン59kg級の文田健一郎(日体大)は、けがで4月のJOC杯に出場できず、世界ジュニア選手権に出場することができなかった。「世界ジュニア選手権の代わりと思って力を入れた。選手権ではないけれど、ジュニアではなくシニアの大会なので、身になるものも多くあると思い、意気込んでいた」と話す。
内容は3回戦までテクニカルフォールかフォール、昨年の世界選手権9位のリー・ユンバエク(韓国)にも5-2で快勝。ほとんどの試合で得意のそり投げを出せ、それが決まったことを勝因に挙げる。「韓国選手とは練習したことがあった。その時は取ったり取られたりだった。今回取れたことで、自分の成長を確認することができた」と話し、自信をつけた様子。
男子フリースタイル57kg級で銀メダルを獲得した中村倫也(専大)は、2013年タクティ・カップ(イラン)60kg級3位の韓国選手に0-1で敗れてしまった。テクニカルポイントは取られていないものの、「攻撃力のなさを実感しました。基本のタックルで取り切れる力をつけるよう練習に励みます」とコメント。 成田空港で解団式を行う日本選手団
全日本学生連盟会長の藤沢信雄団長(大東大監督)は「世界チャンピオンレベルも出場している大会。世界を目指して闘う選手が、世界でどの位置にいるのかを知り、世界の強豪と実際に闘うことは、この先、世界選手権やオリンピックで闘うにあたっていい経験になる。今回は1日で全ての階級が試合をしたため、朝9時から始まって、セレモニーが終了した時は深夜0時を過ぎていた。集中力が要求される場面でメダルを勝ち取った3選手はよくやったと思う」と、異例の事態にも動じなかった選手の健闘をたたえる総括を話した。
世界を経験した学生選抜メンバーは、この経験を糧にさらなる高みを目指し、若手のリーダーとなり日本チームを盛り上げてくれるはず。今後、さらなる期待に応えてくれることが望まれる。