※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
タレント発掘・育成コンソーシアム事業報告①
国内育成プログラム 第1回フリースタイル ジュニア世代検証キャンプ
JWF タレント発掘・育成コンソーシアム
清水 聖志人
2011年に制定した「スポーツ基本法」は、我が国におけるスポーツの施策策定および実施を国が責任を持って行うことを明確に示した。それを受けて2012年に策定された「スポーツ基本計画」に則り、文部科学省は新たな事業を実施している。その中の一つが、独立行政法人日本スポーツ振興センターより、本協会が受託しているタレント発掘・育成コンソーシアム事業である。 教育プログラム:メディアトレーニングを考える(片上千恵:帝京大学 講師)
2015年5月5日(火)~5月7日(木)の期間、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、第1回フリースタイル ジュニア世代検証キャンプを実施した。本キャンプは、男子ジュニア世代の優秀なタレントを対象に、高品質な機会(トレーニング、コーチング、教育プログラム、形態・フィットネスデータのフィードバックなど)を提供することを目的としている。また、本キャンプ中に実施したプログラムの結果を分析し、エビデンスに基づくプログラムの開発を推進する。今回のキャンプでは日本レスリング界の将来を担うジュニア世代の19名が参加した。
レスリングのタレント発掘・育成コンソーシアムは、「インテリジェントレスラーの育成」をコンセプトとしており、全国のU-12世代、U-15世代、カデット世代、ジュニア世代から優秀なタレントを発掘し、国内及び海外育成プログラムによって育成を行う。
本キャンプは、強化段階(ターゲットアスリート)へと上がる検証の機会と位置付けており、キャンプ中に実施したプログラムの結果を分析し、ジュニア世代のターゲットアスリートの選抜を行った。 メディアトレーニングの様子
メディアトレーニングにおいては、レスリングの価値や選手の魅力は、ネットやテレビ、新聞などのメディアを上手く活用して社会に情報発信する重要性が解説され、インタビューの実践等を交えて展開された。また、LINE、twitter、Facebook、ブログなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の活用方法にも触れ、SNSは自身の意見を自由に発信できる便利なツールであるが、掲載にそぐわない内容もあることが説明された。SNSでは発信する能力が問われるので、どのように「見られているのか」、「見せていくのか」を十分に考えて活用する必要があると促された。
マットトレーニングにおいては、昨年の世界ジュニア選手権における分析を踏まえ、この世代の技術的課題について徹底したコーチングを行ったうえで、ポジション別の攻防やスパーリングを中心に展開した。
また、国立スポーツ科学センターの協力により、ナショナルチームが行っている内容と同様の形態測定、フィットネス測定を実施し、キャンプ最終日に測定データのフィードバック及び、ナショナルチームやジュニア代表データとの比較を基にフィットネスレベル向上に向けたカウンセリングを実施した。
本事業は、日本レスリングが永続的にメダルを獲得するための発掘・育成システムの構築を目指すものであり、独立行政法人日本スポーツ振興センターより事業の成果報告が求められる。このことから、本協会に関わる全ての関係者が方向性を共有し、事業の推進に努める必要がある。
![]() 教育プログラム:セルフコンディショニングについて考える(渡邉学:東都リハビリテーション学院) |
![]() フィットネス測定①(300Mインターミッテント) |
![]() フィットネス測定(目標値の確認) |
![]() スタンドスキルのコーチング |
![]() マット練習の様子 |
![]() 形態・フィットネスデータのフィードバックとカウンセリング |