※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫) 両手とも「3」をつくり、3連覇の胴上げを受ける小幡邦彦コーチ
優勝が決まると高田裕司監督、小幡邦彦コーチの順で胴上げ。その後、チームメートも次々と胴上げされ、その多くが両手で3連覇の「3」を指文字。同大初の偉業を全員で分かち合った。
昨年の世界選手権・男子フリースタイル61kg級代表の鴨居正和(現自衛隊)から主将の座を受け継いだのは、同じく昨年の世界選手権・男子フリースタイル57kg級代表の高橋侑希。「練習中の声出しなどを以前よりするようにしてきた」と、チームの雰囲気づくりを大切にしてチームをまとめてきた。
最重量級を任されている“最強留学生”オレッグ・ボルチンも健在。人材豊富だった昨シーズンは、ボルチンにチームスコア3-3で勝負が回ることは1度もなかったが、今大会の最終戦は3-3でボルチンに勝負が回った。ボルチンは「プレッシャーがかかった。きつかったね」と振り返るも、「チームだから、一人じゃないから(勝てた)」と、チームメートとの絆で頑張れたことを、以前より上達した日本語で振り返った。
■スーパールーキー藤波勇飛が世界7位を破る!
優勝候補最右翼のチームがそのまま優勝したように見えるが、アクシデントもあった。高橋主将は「74kg級の本村が大会途中に高熱を出してしまい、出場メンバーをやりくりすることがあった」と、予想外のオーダーで臨んでいたことを告白。 この日の試合でも快勝した新人、藤波勇飛
藤波は大会第2日の初戦、Dグループ1位で1~4位グループに上がってきた拓大戦で、昨年の世界選手権65kg級7位の高谷大地と対戦。1年前のJOC杯ではテクニカルフォール負けと完敗した相手に、今大会は6-0と無失点で勝ち、金星を挙げた。
57kg級の高橋、61kg級の乙黒、65kg級の藤波が、拓大のエースに黒星をつけて3勝目を挙げたことで、流れが山梨学院に傾き、70kg級の木下貴輪が4勝目を決めて拓大を下した。高橋主将は「1、2年生が本当によくカバーしてくれた」と新戦力に恵まれたことも3連覇への後押しとなった。
■「3連覇で終わりじゃない」…後輩に4連覇、5連覇を託す高橋侑希主将
高橋主将は、自身最後となるリーグ戦を終えて、「3連覇で終わりじゃない。今年の主力メンバーで来年いないのは僕だけ。決勝リーグの最終戦は1年生が3人も出ていて、このチームは未来のあるチーム。この結果に満足せず、4連覇、5連覇とがんばってほしいです」と後輩たちへエールを送った。
高橋主将にとっては、リーグ戦を3連覇と最高の形でしめくくれたが、これを集大成としてしまうには、まだ早い。「去年はリーグ戦を制したけれど全日本大学選手権で負けてしまって悔しい思いをした。今年は歯を食いしばってでも勝てるようにしたい」と、11月の全日本大学選手権で“フリースタイルの団体連覇”を目標に掲げた。
![]() オレッグ・ボルチンも3連覇の「3ポーズ」 |
![]() チームメートを全力で応援した選手たち |