※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
オリンピック・イヤーを迎え、ルールの微修正が行われる見込みとなった。昨年12月に英国・ロンドンで行われた審判クリニックで提示され、続いて行われたプレ五輪でテスト実施された。今月末のヤリギン国際大会(ロシア)では国際レスリング連盟(FILA)の理事会が予定されており、ここで正式に決まるものと思われる。
最大の変更は、グレコローマンのグラウンドの攻防。これまでは、1分30秒を終えた段階でどちらかがリードしていれば、リードしていた選手がグラウンドの攻撃権を獲得し、パーテールポジションで試合が再開された。新ルールでは、どちらかにポイントが入っている場合は、パーテールポジションは行わず、試合が続行される。
従来のルールでは、リードされてグラウンドの防御となった場合、逆転できる可能性は極めて低かった(この場合では、30秒守り抜いてもポイントにはならない)。新ルールでは、逆転の可能性が広がったといえる。
1分30秒の段階で0-0の場合は、従来の同じルールで実施される。
フリースタイルでは、ボールのピックアップに変更がある。ボールボックスには赤青各2個の計4個のボールが入っており、0-0で終わった場合は、最初に赤の選手が、2回目は青の選手がピックアップすることは同じだが、選んだボールはボールボックスに戻さなくなる。
したがって、最初に赤が出た場合、2回目にピックアップする時は赤1個、青2個の計3個の中から選ぶことになる。
ルール変更ではないが、フリースタイルのクリンチ、グレコローマンのパーテールポジションのスタート時には、タッチするだけのランニングクリンチは認められず、必ず静止してからスタートすることが徹底されるという。
なお、プレ五輪のグレコローマンでは、片方の選手がコンタクトポジション(片手を相手の上腕部、もうひとつの手を相手のわき腹に添えた状態)からスタートするルールがテストされたが、これは採用されない見込みだという。