※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
世界のスポーツ界が揺れている。共同通信ほか複数の国際通信社が報じたところによると、オリンピック競技を含めた100以上のスポーツ団体が加盟する「スポーツアコード」のマリウス・ビゼール会長(ルーマニア=国際柔道連盟会長)が4月20日、ロシア・ソチで行われた総会でのあいさつで、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(ドイツ)の推進する「オリンピック・アジェンダ2020」について、「時代遅れで不公平」などと強烈批判。オリンピックの開催都市が種目追加を提案できる権利を認めたことを「オリンピックを不安定にしている」と切り捨てた。
この発言に対し、国際陸上連盟や国際射撃連盟が即座に脱退を表明。夏季オリンピック28競技で構成される夏季オリンピック国際競技連盟連合(ASOIF)が「スポーツアコード」との関係の一時停止を決め、国際パラリンピック委員会(IPC)は脱退を表明した。
「スポーツアコード」は、これまでに格闘競技だけを集めた大会を開催したり、多くの世界選手権を合同で開催する構想を打ち出し、ある面ではIOCに対抗する姿勢を持っていたが、共存共栄という形であり、対立という構図は薄かった。今回のビゼール発言は対立姿勢の意思表示とも解釈でき、オリンピック競技と非オリンピック競技の断絶につながる可能性を持つと言えよう。
なお、世界レスリング連盟(UWW)は見解を表明していない。イランのメディアによると、「スポーツ・アコード」の総会ではイランの伝統レスリングのデモンストレーションが行われ、イラン・レスリング協会の首脳やUWWのミッチェル・デュソン事務総長(フランス)らが参加したという。