※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
両スタイルが集まった男子合宿
男子グレコローマンの西口茂樹強化委員長(拓大教)は「(2月下旬から3月上旬の)ハンガリー遠征で見つかった課題に取り組ませた。直すべき点に取り組み、次につなげたい」と今回の合宿のテーマを説明。
グレコローマンはルール改正が予定されているが、出場した「ハンガリー・グランプリ」は旧ルールで実施され、どう変わるか未知数の部分がある。やりづらいと思われるが、西口委員長は「どの国も条件は同じ。現状の中でできる精いっぱいのことをやればいい」と話す。
コーション(警告)の際にパーテール・ポジションの選択がなくなるのは、かなりの確率のようだが、「変わらない可能性も10パーセントくらいはあると聞いている」と言う。新しいルールを決めつけず、「ルールを超えた根本の部分での強化に力を入れたい」と、基礎の部分の指導を豊田雅俊コーチ(警視庁)に託した。
自身は、地力はありながら結果を出せないでいる選手を相手に、「自分の得意技につなげるパターンを確立させたい」と開始直後からの攻撃の基本をほぼマンツーマンで指導。パーテール・ポジションの有無にかかわらない練習に力を入れ、ベースの部分での強化に取り組んだ。
男子フリースタイルの和田貴広委員長(国士舘大教)は卒業式のため不在。同スタイルを指揮した田南部力コーチ(警視庁)は「若手中心のメンバーになったので、リオデジャネイロもさることながら、東京オリンピックを目指した強化を心がけた」と、グレコローマンと同じ土台づくりを強調。 全日本選抜選手権の本戦とプレーオフでの連勝を目指す松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)
■再起にかける松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)
2012年ロンドン・オリンピック60kg級銅メダリストで、66kg級でリオデジャネイロ・オリンピックを目指す松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)も、全日本選手権を欠場することになった左肩のけがが完治しない状況ながらも元気に汗を流した。
「ハンガリー・グランプリ」は最後の試合を棄権して心配されたが、「旧ルールでしたから、グラウンドを守れないと思いました」と、肩への負担を考えて大事をとっただけとのこと。パーテール・ポジションのないルールなら最後まで出場したそうだ。
上位入賞はならなかったものの、「試合では、自分の形を出せてポイントも取れた」と、気持ちは上向いた状態で今回の合宿に臨めたようだ。「けがを治すことと集中してやることのメリハリをつけ、6月(全日本選抜選手権)へ臨みたい。本戦とプレーオフを連勝できないようでは、世界で勝てませんよ」ときっぱり。
2008年からお世話になった「群馬ヤクルト販売」の選手としては、これが最後の全日本合宿。4月からは日体大のスポーツ局に勤務する。選手兼コーチとして日体大の学生選手の育成にも力を入れることになったわけだが、「リオデジャネイロまでは選手活動優先でいい」と言われているそうで、選手活動に支障はなさそう。
「これまでにも選手にはアドバイスをしてきた。自分が頑張り、選手と練習することが指導になる」と、選手として結果を出すことで学生の指導をする腹積もりだ。
■高谷大地(拓大)も全日本合宿へ復帰 今年初の全日本合宿参加となった世界7位の高谷大地(拓大)
久しぶりの全日本合宿は「脚に負担がかかったりで、体がよく動かず、続かないこともある」とのことだが、「やらなければならない。この試練を乗り越えることも、成長のためには欠かせない、という気持ちです」と言う。
ライバルは海外へ遠征してメダルを取るなどの活躍をしている。「焦りもあります」と言うが、監督やコーチ、兄(惣亮=74kg級)からの「焦らなくてもいい。勝つべき時に勝つのが、本当の強さだ」などのアドバイスで気持ちを落ち着かせ、「ブランクの間、弱い部分を鍛えて体のバランスを整えよう」と、気持ちを切り替えてやってきたという。
社会人なら決戦(全日本選抜選手権)まで3ヶ月近くあるが、拓大の選手として東日本学生リーグ戦というビッグイベントがあるので、残された期間は約2ヶ月。「けがを理由に(欠場は)したくない。右脚が使えなければ、左脚で闘う。5月半ばまでに仕上げていきたい」と、巻き返しを誓っていた。
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