※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
柔道の練習に参加した男子チーム
来年のロンドン五輪の日本代表及び代表候補選手を含む男女の全日本チームは元旦午後、五輪でともに金メダル獲得を目指す柔道ナショナルチームとの合同練習を行った。
■柔道の組み手争いをレスリングに生かす米満達弘
レスリングと柔道の男子全日本チームが合同練習を行うのは、2006年6月以来のこと。双方とも当時の全日本チームとはメンバーが大きく入れ替わっており、ほとんどの選手が初体験だった。女子は、初期の頃に講道館での柔道の練習に全日本メンバーが加わったことがあるが、実質的には初の合同練習。
前回の男子合同合宿は、レスリング場に柔道チームを招いてレスリングの基礎トレーニングを中心に行った。今回は、女子チームがレスリング場、男子チームが柔道場と、分かれて練習を行った。
男子フリースタイル66㎏級でロンドン五輪代表に決まった米満達弘(自衛隊)は「生まれて初めて正月に練習した」と、正月練習自体が初体験。「レスリングの練習ばかりではマンネリしてしまうので、お互いに都合がよければ合同練習はやりたい」と、今回の企画に新鮮味を感じていたようだ。
当初は米満を含めてレスリング・チームはTシャツ姿で練習に参加。米満もメニューを無難にこなしたが、柔道着を着用して乱取りを始めると、レベルの差を痛感。米満は中学時代に柔道経験があるが、「レベルが違った。組み手のうまさがありました」と、目からうろこが落ちたようだ。
「柔道の選手は、投げるまでに組み手があって段階があった。タックルに行くまでの組み手に生かしたい」と、他競技での合同練習からでも、レスリングに行かせる部分を見出していた。
柔道チームを受け入れた女子チーム
女子チームは、レスリング場でレスリング特有の基礎体力トレーニングを行った。女子の栄和人強化委員長は「柔道の活躍をずっとみていて、いつかは刺激しあってトレーニングをしたいと思っていた。オリンピックで一つでも多く金メダルを取れればと思って」と、かなりきついメニューを組んだが、「(柔道選手は)すべてこなしたという印象がある」と、金メダル候補の柔道選手たちの基礎体力に舌を巻いた。
柔道選手たちの身体能力の高さには、ロンドン五輪代表に決まった小原日登美(自衛隊)、吉田沙保里、伊調馨(ともにALSOK)なども同感だったようだ。小原は「福見(友子)選手とペアを組んでいましたが、マット運動は自分よりもうまかった」と話し、吉田は「レスリング選手は押しが得意で、柔道選手は引きが強く、すべてが勉強になったし、五輪までに何度か合同練習したい。2012年、いいスタートが切れた。」と合同練習に満足そうだった。
伊調馨は「(柔道選手とは)会ってもあいさつ程度だった」と話し、同じ格闘技ながら交流がなかったというが、今回の合同練習で意気投合。「ロンドンで柔道が先に金メダルを取って、(その後に行われる)レスリングが金メダルを引き継ぐようにしたい」と抱負を述べた。
合宿は2日午前で終了。男子は13日から約1週間の合宿に入り、女子はモンゴル、ロシアなどへの遠征で次の活動をスタートする。
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