※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
富山英明理事
理事会はほぼ1日をかけて行われ、かぜなどで欠席した3人以外の理事が出席。国際レスリング連盟(FILA)時代の理事会は比較的平穏で、提案された議題がほぼそのまま承認されることが多かったが、今回はミハイル・マミアシビリ理事(ロシア協会会長)がカーリ・トイボラ理事(審判委員長=フィンランド)に「審判に不正が横行している」などとの意見をぶつけ、1時間近く激しい論議をするなど従来とは違う“熱い会議”だったという。
その結果、チャレンジ(ビデオ・チェック要求)の際に判定を下したジュリーの裁定が正しかったどうかを裁定するため、5人で構成されるグループが新設されることになり、マミアシビリ理事、チェノ・チェノフ理事(ブルガリア)などとともに、富山理事が選出された。具体的にどういった手順で判定の是非を判断するかまでは明示されなかった。
“新しいレスリング”をアピールするため、マットと選手・審判のユニホームを変更することが承認された。UWWのホームページは、これらは基本的に40年以上変更されておらず、「かなりの変更」と記述している。 新しいマットの色=UWW提供
シングレットの変更については現在検討中で、今年中に新しいデザインが決定される。「若い観客にアピールするため」「in a variety of colors」(さまざまな色)と記述されており、従来の赤と青を主体としたシングレットから大きく様変わりする可能性がある。理事会ではいくつかの案が提示されたが、写真撮影は禁止だったという。
富山理事によると、女子はビーチバレーのユニホームのようなセパレート・タイプも提案されたというが、女性の肌の露出を嫌うイスラム圏の理事からは反対の意見が出たという。審判のユニホームは、現在のスーツとネクタイ姿から、以前のようなポロシャツ姿に戻る見込み。
UWWのネナド・ラロビッチ会長(セルビア)は「レスリングが見る側にとって魅力的なスポーツであるための第一歩だ。選手とファンが誇らしく感じ、アピールできるようなユニホームに変えていきたい」とコメントした。
《その他の決定・報告事項》
■UWWの本部を、現在のコルシエシュルヴヴェ(ローザンヌから東へ25km)からローザンヌへ戻す=国際オリンピック委員会(IOC)本部の近くにおくことで、より密接な関係を構築するため
■2008年にセルビアから独立を宣言したコソボからの加盟申請を承認。コソボは昨年12月にIOCに加盟承認されており、次回のオリンピックからコソボ代表として出場できる。UWWの加盟連盟は「179」となった。
■従来の大陸連盟(アジア・レスリング連盟など)を、「United World Wrestling(UWW) アジア」などに名称を変更する
■2013年にFILAのレスリング・スタイルから外されたグラップリング(関節技のあるレスリング)が、ノン・オリンピックスタイルのレスリングとして復活。
■リオデジャネイロ・オリンピックに関し、会場や宿舎のほか、組織づくりの準備も遅れている。今年8月にブラジルで行うことになった世界ジュニア選手権は、プレ大会として実施できずレシフェで行うことになったが、それも流動的。
■2017年世界選手権から、現在の3スタイル同時開催にこだわらず、各スタイルごと、あるいはノン・オリンピックスタイルを含めた2スタイルごとで実施できる。