※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
超満員の観客で埋まるイランのレスリング会場
レスリングが国技のイランは、イラン・イラク戦争のあと、1998年と2002年に男子フリースタイルの世界選手権を開催し、アジア選手権も何度か開催していた。しかし、2005年から世界選手と大陸選手は3スタイル同時に開催することとなり、宗教上の理由によって女子を行うことのできないイランは、シニアのみならず、ジュニア、カデットも世界・アジア選手権を開催できないでいた。
2011年の世界選手権の際に行われた記者会見で、当時の国際レスリング連盟(FILA=現UWW)のラファエル・マルティニティー会長は「女子を実施しない限り、世界選手権や大陸選手権の開催はできない」と強い口調で断言し、女子の実施を求めた。
昨年の世界選手権の際、UWWのネナド・ラロビッチ会長(セルビア)は1スタイルが8階級となり、3スタイル24階級となったことで「3スタイルの同時開催は限界」として、各スタイルの分散開催、あるいは2スタイルでの開催の可能性に言及していた。
一方、UWWは今月から女子レスリングの世界的普及へ向けたキャンペーンをスタートさせるなど、国際オリンピック委員会(IOC)の理念のひとつである男女平等へ向けて全面協力の姿勢を打ち出している。
女子を実施しない唯一の国(?)であるイランに対し、UWWがどのような姿勢を示すか注目される。