2014.12.24

【全日本選手権最終日・特集】優勝選手の声

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(12月23日、東京・代々木競技場第2体育館 / 文=増渕由気子、渋谷淳、三次敏之)


 ■男子グレコローマン59kg級・倉本一真(自衛隊=決勝戦で太田忍を逆転のフォールで下し3連覇)「ああいう勝ち方は絶対にダメで、反省ばかりです。自分から仕掛けたあと、取って取られて…。世界を狙うレベルであんなことをやってはいけない。ライバルは長谷川さん(恒平=青山学院大職)だけじゃない。若手も伸びてきているし、ひとつも気が抜けない。6月の全日本選抜選手権でしっかり勝って、世界選手権でオリンピックのキップを取ってきたい」


 ■男子グレコローマン98kg級 斎川哲克(栃木・足利工高教=アジア大会3位の実績をもって優勝)「今回は出場選手が多くて、いつもより1試合多いのでスタミナ面を心配していた。最初の試合はとんとんと勝てて、そんなに疲れないでいけた。若手の力も感じましたが、毎試合相手を分析しながらやれました。(4連覇については)10連覇をしている先輩がたくさんいるので、満足できていません。来年の冬は高校の入試とかぶるので、長期的な海外遠征は難しいと思います。全日本合宿などは土日を使って参加する形になりそうです」


 ■男子フリースタイル57kg級・森下史崇(ぼてぢゅう&Bum‘s=全日本選抜選手権の決勝で負けた相手にリベンジ達成)「負けている相手に勝てたのでとてもうれしい。アジア大会で思ったような成績を残せなかったので、今回優勝して、その借りを返そうと思いました。初戦で高校生とやって、油断して投げられてしまったり、決勝は攻めて点数を取ることができないなど、まだ甘い部分がありますが、来年の全日本選抜選手権できっちり優勝して、世界選手権代表を狙いたいと思います」


 ■男子フリースタイル74kg級・高谷惣亮(ALSOK=初戦で左ひざのじん帯を痛めながら世界選手権2位の実力を発揮して4連覇)「1回戦で左の内側じん帯を断裂して、棄権しようかと思ったけど、それでは弟(大地=フリースタイル65kg級にエントリーも、けがで棄権)のモチベーションも落ちると思って出場した。リスクもあったけど、できることとできないことを判断して、一番安全な闘い方をして勝つことができた。オリンピックは、北京の時が最終予選で負けて、ロンドンは出場したけど初戦敗退。次のリオデジャネイロは必ずメダルを取りたい」


 ■女子53㎏級・吉田沙保里(ALSOK=決勝で55㎏級世界一の浜田千穂にフォール勝ち)「大会前から世界チャンピオン同士の闘いということで注目されていたので、そういう意識で臨みました。リオデジャネイロでの4連覇しか狙っていないので、そこを目指します。今年を振り返ると、3月に父が亡くなったことが大きかった。でも、今でもマットのすぐそばで背中を押してくれていると思います。『目標はリオだよ、けがをするなよ』って言ってくれているようで。きのう48㎏級で3連覇した(登坂)絵莉が『沙保里さんみたいになりたい』と言ってくれるのも、とても励みになります」


 ■女子58㎏級・伊調馨(ALSOK=決勝で川井梨紗子に6-0の判定勝ち)「もっといい試合ができたと思います。いつもより勝つことにこだわりすぎてしまいました。負けたら怒る人がいる(11月28日、脳挫傷のため65歳で逝去された母トシさん)。母が鋭い視線というか、見守ってくれているという気持ちで闘いました。相手は誰でも一緒、自分のレスリングをすることにこだわりたい。そのためにも、もっと試合をしたいですね。この階級に関してもどんどん試合をしていきたい。試合をこなして(強くなって)いくタイプなので。試合をする度に反省点は生まれます」


 ■女子63kg級・伊藤友莉香(自衛隊=決勝でアジア大会優勝の渡利璃穏を下して初優勝。最後は渡利がチャレンジして6-6とされるも、ビッグポイント差で勝利)「渡利さんとは何回も試合をして、ずっと負けていた。やっと勝てた。(決勝は出だしで0-4とリードを許す)今まではリードされたら弱気になるところがあったけど、今日は気持ちを強く持って絶対にいけると思って試合に臨んだ。これでオリンピックに向けてスタートラインに立てたと思う。来年の世界選手権に出たい」