※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫) 優勝を決め、大きくガッツポーズの白井勝太(日大)
エリート街道を歩んできた白井にとっても、うれしい優勝だった。マットサイドなどにいたチームメートの叫ぶカウントダウンが「0」になると、両手を突き上げてガッツポーズ。喜びを体いっぱいに爆発させた。「大学では自己管理が基本。自分自身の気持ちが一番重要です。食事も自炊しています」と、慣れない環境の中での生活が続いている。だが、「日大に入ったおかげで周囲のサポートがあり、チャンピオンになれました」と話し、先輩や同僚の手助けに感謝した。
高校では74kg級で活躍。84kg級でもタイトルを獲得したが、「大学では74kg級で闘う」と、ライバルの奥井眞生(現国士舘大)や浅井翼(現拓大)に宣戦布告していた。だが、体の成長などを考え、86kg級への階級アップを決意。この半年間で体を作り上げてきた。 タックルに磨きがかかり、体重差を乗り越えた
成長の要因に、技のレパートリーが増えたことがある。「富山(英明)監督を含めていろいろな方から、たくさん技を教えてもらっています」。得意のタックルも、周囲から「うまくなったね」と言われることが多くなった。決勝の亀山戦でも、接戦の試合に風穴を開けたのは、後半に繰り出したタックルだった。
1年生チャンピオンになって安心するつもりは全くない。むしろ「チャンピオンになって、これからはマークされる。それを考えると、今回の試合内容は反省することが多かった」と話し、勝ってかぶとの緒を締めていた。