2014.10.18

2020ターゲットエイジ育成強化プロジェクト「タレント発掘・育成コンソーシアム」

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

文部科学省委託事業/独立行政法人日本スポーツ振興センター再委託事業
2020ターゲットエイジ育成強化プロジェクト「タレント発掘・育成コンソーシアム」の受託について

JWFタレント発掘・育成コンソーシアム
プロジェクトマネジャー 清水聖志人


 2011年に制定した「スポーツ基本法」は、我が国におけるスポーツの施策策定および実施を国が責任を持って行うことを明確に示しています。それを受けて2012年に策定された「スポーツ基本計画」に則り、文部科学省は新たな事業を実施しています。

 本協会は、その中の主要事業の一つである文部科学省委託事業/独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)再委託事業2020ターゲットエイジ育成強化プロジェクト「タレント発掘・育成コンソーシアム」を受託しました。

 本事業は、有能なアスリートの発掘及び適切な育成・強化の手法・仕組みを調査研究・開発し、タレント発掘・育成コンソーシアムを形成して、一地域、一競技団体では難しい課題の解決を目指すものです。

 そこで本協会(JWF)では、各世代のタレント選考基準の作成や国内・海外育成プログラムの高品質化に注力し、JWF 独自の発掘・育成・強化システムの構築に向け、アスリート選抜システム構築事業を推進します。

 本事業は、2020年東京オリンピックにおけるメダル獲得とその後に向けて、永続的な発掘・育成・強化システムの構築を目指すものであり、文部科学省及びJSCより事業の進捗について厳正な評価を受けます。このことから、本協会に関わる全ての関係者が方向性を共有し、事業の推進に努めることが求められます。

 そこで、本事業の方向性や実施内容を関係者が共有できるよう、2020ターゲットエイジ育成強化プロジェクト「タレント発掘・育成コンソーシアム」のコンセプト映像を作成しました。是非、下記のリンクよりご覧ください。

《英語版(English Ver.)》

 なお、今年度の事業内容は下記となります。
 

■事業内容

アスリート選抜システム構築
 

①タレント選抜プログラムに必要なプログラム作成

 これまでの競技成績偏重のタレント選抜から、客観的指標を用いたタレント選考を目指すため、平成25年度に実施した各世代のMPAキャンプ(U-12、U-15、U-17、U-20)において、形態・フィットネス測定などを実施し、各世代の体力等の特徴を抽出しました。加えて、トレーニングプログラムや教育プログラムへの取組み、競技実績などを考慮したタレント選考基準を作成し、海外育成プログラム対象アスリートの選考に活用します。

②グレコローマンスタイルスペシャリスト育成プログラム作成

ア.グレコローマンスタイルスペシャリストキャンプ

 海外の強豪国では、早期の段階からグレコローマンスタイルを戦略的に育成・強化しています。一方、日本では、高校年代までフリースタイルを専門に行い、大学入学後にグレコローマンスタイルへ種目転向する傾向にあります。そこで、U-15世代、U-17世代からグレコローマンスタイルに適正のあるアスリートを発掘・育成するシステムが必要であり、グレコローマンスタイルスペシャリスト育成キャンプを新設し、高品質な指導機会を提供します。

イ.グレコローマンスタイルスペシャリスト育成プログラム作成

グレコローマンスタイルに適正のあるアスリートの発掘・育成においては、多くがフリースタイルからの種目転向者と予想されるため、グレコローマンスタイルスペシャリストを選抜する為の客観的指標を作成します。また、育成段階に応じたスペシャリスト育成プログラムを作成し、種目転向の促進を図ります。

③国内育成キャンプ(品質チェックを含む) 

ア.国内育成キャンプの実施

 ・U-12国内育成キャンプ
 ・U-15国内育成キャンプ
 ・カデット国内育成キャンプ
 ・ジュニア国内検証キャンプ
 ・U-15・カデットグレコローマンスペシャリスト国内育成キャンプ

イ.教育プログラム開発

 近年のエリートレベルでは、アスリートやコーチの努力だけで勝利することが難しく、様々な医科学サポートを能動的に活用できる能力が必要とされており、運動能力だけではなく、知的なアスリートが有利な時代です。本事業は、「インテリジェントレスラーの育成」を理念としており、それらに必要な素養を身に付けるため「教育プログラム」を開発し、実施する。教育プログラムの開発においては、育成年代に応じた内容に加え、競技引退の生活を考慮し「Dual Career」を意識したプログラムを構成(ライフスキルを活用)します。

ウ.保護者、指導者への啓蒙プログラム作成

 日常のアスリート育成は所属コーチと保護者のサポートが中心であり、所属コーチと保護者には、アスリートを育成する上での適切な知識が求められます。そこで、国内育成キャンプで実施する教育プログラムの効果を高めるために、所属コーチや保護者などに対する啓蒙プログラムを作成します。

④育成スタッフによる巡回コーチングプログラム

 国内育成キャンプの機会は限られているため、キャンプに参加したアスリートの品質チェックや高品質な指導機会を創出するために巡回コーチングプログラムを実施します。巡回コーチングプログラムの対象アスリートは、国内育成キャンプに参加した中から選考します。
 

⑤選抜・育成プログラムの検証(海外育成プログラム)

 ・男子フリースタイルカデット世代:ロシア(クラスノヤルスク)
 ・男子グレコローマンスタイルカデット世代:アゼルバイジャン(バクー)
 ・女子カデット世代:アゼルバイジャン(バクー)
 ・女子ジュニア世代:アゼルバイジャン(バクー)
 ・男子フリースタイルジュニア世代:ブルガリア(ソフィア)
 ・男子グレコローマンスタイルジュニア世代:ブルガリア(ソフィア)

グレコローマンスペシャリスト育成の様子

フリースタイルコーチングの様子

フィットネス測定

教育プログラムの様子