2014.10.18

【長崎国体・特集】山本泰輝(静岡・飛龍)が圧巻の高校五冠王者へ

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

 史上6人目の快挙達成だ! 「長崎がんばらんば国体」の少年フリースタイル120kg級は、山本泰輝(静岡・飛龍)が決勝で伊藤匠汰(茨城・霞ヶ浦)をわずか1分1秒で10-0のテクニカルフォール勝ち。国体2連覇を達成するとともに、全国高校選抜大会、JOC杯ジュニア、インターハイ、全国高校グレコローマン選手権に続く優勝で、高校五冠制覇を達成した。

 JOC杯ジュニアを含めた五冠王者は史上のべ6人目。静岡県勢だと1998年の松永共広(沼津学園高=現飛龍/2008年北京オリンピック男子フリースタイル55kg級銀メダル)以来の偉業達成。山本は「今年は最上級生だったので、年下とか同級生には負けられなかった」と、3年生の自覚で白星街道を走り続けた。

 向上心を持った選手だ。全国高校選抜大会で優勝しても、「決勝はあまりいい内容の試合ではなく、うれしい優勝ではなかった」と納得しなかった。高校界ではダントツの強さを誇ってライバルがいなくても、「練習の成果を出すという目標を持っていた」と、常に自分自身と闘ってきた。井村陽三監督もその向上心は認めていた。

 モチベーションは、2020年の東京オリンピックだろう。山本は「東京オリンピックの時、自分は24歳。ちょうどいい年齢だから頑張りたい」と、出場に意欲を見せた。

 幼少の頃からレスリングを始め、スポーツ歴はレスリングのみ。昨年、オリンピック競技からの除外騒動の時は、「どうしたらいいんだろうと思った」と動揺したが、レスリングの存続と東京オリンピック開催が決まり、さらに日本協会のターゲット選手にも選ばれ、追い風が吹いている。

 軽量級に注目がいきがちな日本だが、先日行われたアジア大会(韓国・仁川)では、男子フリースタイル125kg級の荒木田進謙(警視庁)が銅メダルを獲得。元プロレスラーの谷津嘉章以来、36年ぶりに最重量級でメダルを獲得する快挙を成し遂げた。山本はその活躍を見て、「アジア3位になれる選手が日本国内にいるので、その人を倒す目標を掲げて頑張りたいです」と目を輝かせた。