※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
レスリング界史上初のアジア大会4連覇を達成した吉田沙保里(ALSOK)
女子75kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)と男子フリースタイル65kg級の石田智嗣(警視庁)は、ともに3位決定戦で敗れて5位。メダルに届かなかった。
吉田は1回戦で4月のアジア選手権53kg級優勝の鐘雪純(中国)と対戦。序盤に4点技からニアフォールに持ちこまれ、あわやフォール負けという体勢に持ちこまれるピンチ。なんとか乗り切って最後はタックルを中心に逆転したものの、冷や汗をかく展開だった。2回戦から持ち直して、テクニカルフォールやフォールで勝ち進み、4連覇の偉業を成し遂げた。
浜口は、初戦でアジア選手権2位の周風(中国)と対戦し1-2と惜敗。組み合わせの関係で3位決定戦に臨んだが、世界選手権3位のブルマー・オチルバト(モンゴル)に2-2のスコアながらコーション差で負けてメダル獲得はならなかった。
2010年の前回大会で米満達弘が金メダルを獲得した66kg級を受け継ぐ65kg級に出場した石田は、1回戦のモンゴル戦を2-2のビッグポイント差で競り勝ったが、準決勝、3位決定戦といずれも同点の内容負けでメダル届かなかった。
男子フリースタイル97kg級は、日本選手は出場していない(8階級中、1ヶ国から7階級までの出場というルールのため)。
各選手の成績は下記の通り。
◎女子
【55kg級】吉田沙保里(ALSOK) 優勝=12選手出場
決 勝 ○[Tフォール、4:07=12-1]Byambatseren Sundev(モンゴル)
《試合経過》第1ピリオドの開始40秒、吉田がタックルを決めて2点。両足タックルで追加点。場外ポイントで失点はしたものの、第2ピリオドではタックルからローリングの連続攻撃。最後は豪快な4点タックルを決めてテクニカルフォール勝ちを収めた。
準決勝 ○[Tフォール、2:49=14-4] Kumari Babita(インド)
《試合経過》吉田は第1ピリオド、相手を落としてバックを奪い、連続ローリングを仕掛けるが、ブリッジが十分でないとして、相手にも1点ずつ入り、10-4。スタンドに戻ってからバックポイントとタックルで14-4とテクニカルフォールを決めた。
2回戦 ○[フォール、0:38=2-0] Pham Thi Loan(ベトナム)
《試合経過》吉田は第1ピリオドの開始早々、バックを奪って、そのままフォールした。
1回戦 ○[12-9]Zhong Xuechun(鐘雪純=中国)
《試合経過》第1ピリオドの1分50秒、吉田は相手の小内刈りからの外無双の連続攻撃に耐え切れず4失点。そのままニアフォールに持ちこまれてあわやフォールという状況に追い込まれる。アンクルホールドにつなげられて0-5で第1ピリオド終了。第2ピリオド、序盤に組みついた吉田は一本背負いで4-5とするが、再び相手の投げ技を受け、ローリングも決められて4-9と差を広げられる。吉田はタックルなどで冷静に2点ずつ取り返して、最後は12-9として逆転勝ち。
【75kg級】浜口京子(ジャパンビバレッジ) 5位=7選手出場
3決戦 ●[2-2C]Burmaa Ochirbat(モンゴル)
《試合経過》第1ピリオド、浜口がアクティブタイムで攻撃できず1点を失う。第2ピリオド、相手にアクティブルール。浜口は果敢に攻めて場外ポイントを取って1-1。しかし、コーションの差でこのスコアなら浜口の負け。浜口は攻めたが、場外際でうっちゃられて1失点。残り4秒、浜口はあきらめずにタックルを仕掛けて相手をテークダウン。当初レフェリーは浜口に2点をあげたが、モンゴルのチャレンジにより、テークダウンではなく場外との判定で1点に修正。そのため、2-2のとコーション差でメダルを逃した。
1回戦 ●[1-2]Zhou Feng(周風=中国)
《試合経過》第1ピリオドの開始序盤に浜口が消極的とみなされ、30秒のアクティブタイムで攻撃し切れず1失点。第2ピリオドの序盤にタックルを受けて場外に出てしまい0-2。第2ピリオドの後半に、相手にアクティブタイムを与え、浜口に1点が入るが、1-2で逃げ切られた。
◎男子フリースタイル
【65kg級】石田智嗣(警視庁) 5位=12選手出場
3決戦 ●[5-5B]Ikhtiyor Navruzov(ウズベキスタン)
《試合経過》第1ピリオド中盤、石田はアクティブタイムで攻撃できず1失点。第2ピリオドの中盤、石田が持ち上げタックルなどで4-1としたが、追加点を狙ったタックルを返され、このタックル返しが4失点。石田にも1点が追加されて5-5となったが、ビッグポイント差でメダルを逃した。
準決勝 ●[5-5C]Zalimkhan Yusupov(タジギスタン)
《試合経過》第1ピリオド中盤に石田がアクティブタイムを課せられ、攻撃できず1失点。終盤にタックルを決めて2-1へ。第2ピリオド、バックポイントからローリングを決められて5-5と同点に追いつかれ、コーション差で惜しくも敗れた。
2回戦 ○[2B-2](モンゴル)Mandakhnaran Ganzorig(モンゴル)
《試合経過》第1ピリオド1分ごろ、消極的な石田にアクティブタイムが課せられて1失点。場外ポイントも奪われて0-2で折り返し。第2ピリオド、石田はカウンター攻撃でバックポイントを奪って逆転。終盤、相手のラッシュをしのぎきった。
1回戦 ○[Tフォール、4:54=10-0]Ghazwan Lazkani Munla Badawi(シリア)
《試合経過》第1ピリオド中盤に石田がタックルを決めて2点を奪う。相手の負傷により一時試合が中断するも、石田はマイペースを貫いて、タックルやバックに回り込み、テクニカルフォールを決めた。