※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
■園田新の2014年全日本大学グレコローマン選手権成績 決 勝 ○[Tフォール、2:30=8-0]前川勝利(早大) 準決勝 ○[Tフォール、2:18=8-0]山口直人(徳山大) 3回戦 ○[Tフォール、1:13=8-0]角原克己(関大) 2回戦 ○[8-0]笹川久志(日体大) 1回戦 BYE |
(撮影=矢吹建夫) 目立ちたがりの同志、高谷大地と優勝を喜ぶ園田新(拓大)
負傷を抱えての闘いだった。世界選手権から帰国し、最初の練習で左手薬指を脱きゅう。入院して治療することになり、一昨日まで練習ができなかった。「練習できたのはおとといと昨日だけ。力を出せるか不安でした。負けたらどうしようという気持ちや、練習していない選手は勝てないという気持に襲われました」と言う。
試合が始まると意外に動け、高谷惣亮コーチからも「動きがいい」と言われて少しずつ自信を取り戻したという。決勝は「最高の状態、最高の雰囲気、最高の勢いが回ってきた。これで勝てないヤツは駄目なヤツだ、と心を奮い立たせました」と言う。
この優勝は、日本の第一人者であることをあらためて証明した優勝だろうが、園田は「今のボクの敵は世界です。なに偉そうなこと言っているんだ、と思われようとも、この大会は勝って当たり前だと思っています。今度の冬は外国へ武者修行に行き、オリンピックを目指して頑張りたい」ときっぱり。今年の世界選手権で分かったことは、120kg程度の体重では闘えないということ。最低でも125kgを目指して筋力アップに励み、世界で通じる体づくりを目指す。
この日、全日本選抜選手権王者で構成されたアジア大会の男子グレコローマン・チームが韓国へ向かったが、園田は参加していない。アジア大会は、8階級のうち1ヶ国から7階級までしか参加できないためで、外されたのが園田だ。「目立ちたい」という園田にとって、世間の注目度が違う総合大会はぜひとも出たい大会だっただけに、無念の決定だ。
だが、園田にショックはない。「これまでの最重量級の成績からすれば仕方ないことでしょう。出たいのはオリンピックですから。ボクが世界で勝って(出場権を)取ってきます。テレビに出て、両親やおじいちゃん、おばあちゃんにも見てもらいたい。園田という名前を世界に広めたい」と、将来の夢を力強く語った。
そう話した時、園田を上回る目立ちたがり屋(?)の高谷惣亮コーチがそばを通った。園田が「世界の高谷、世界の園田でどうですか?」と声をかけると、高谷は「いいね。それでいこう」とニッコリ。高谷弟(大地)とともに、“拓大の目立ちたがりトリオ”が世界に広まる日の実現が待たれる。