※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
■天野雅之の2014年世界選手権成績 敗復戦 ●[4-6]Kristofer Alf Ragnar Johansson(スウェーデン) 4回戦 ●[0-2]Melonin Noumonvi(フランス) 3回戦 ○[Tフォール、0:42=8-0]Damian Janikowski(ポーランド) 2回戦 ○[3-1]Alexander Jose Brazon(ベネズエラ) 1回戦 BYE |
初出場で8位入賞の天野雅之(中大職)
天野 出場のチャンスをいただいて、自分が世界でどれだけできるかと思って、持っている力をすべて出そうと思って来た。出せた反面、油断はしたつもりはないけど、大きな技にかかったりして、そこに関しては悔しい気持ちだ。
――負けた2試合の敗因は?
天野 日本人のスタイルとして前に出て取りに行くという練習をやってきたが、清水先輩のようなスタイルを出せなかったことが反省です。相手の体力を削る、アジアの選手らしい試合運びができなかったと思う。
――負けた2試合は、第2ピリオド、押されもしなかったけど、ポイントも奪えないという展開でしたが。
天野 そうですね。でも、どの選手とやっても自分より強いと思い、思い切って技を仕掛けようとか、思い切りやろう、という意識を持ってできた。この面ではよかったと思う。
――ポーランド戦での4点のバック投げ、観客を沸かせましたね。
天野 ありがとうございます(笑)。レスリングの醍醐味ですから。そういう技、好きです。レスリングの魅力、特にグレコローマンは大技を狙っていくべきだと思います。これがあるから、そのすきにローリングにいくとかができると思う。今回はちゅうちょせずに(バック投げのあと)ローリングを仕掛けた。
――うまく、はまった、という感じですね。
天野 ポーランドは強いと言われ(昨年84kg級5位、今年欧州3位)、積極的に出ようと決めていたので、それがよかったかもしれない。
――あの試合のあと、アメリカの記者が驚いて「彼はだれだ?」と聞いてきましたよ。
天野 本当ですか? 次も続けていればよかったですね。
――グレコローマンのチームは日本の2番手チームでしたが、ここでボロ負けしては何を言われるか分からないから頑張る、という意識は?
天野 いえ、自分が(二番手ではなく)代表だという意識でした。選ばれた段階で、日本で勝つためではなく、世界で勝つための練習してきた。ボクがこの階級の日本代表だと思っている。そういう意味では、恥ずかしくない試合を心がけた。
――上を目指す課題は?
天野 体力面が一番の課題です。仕事の関係で練習が制限されている中、どれだけやれるか。技に関しては通じないことはなかったので、世界で通じる体力をつけていけば、世界でもいいところまでいけるという気持ちです。今回の大会で自信みたいなものがつきました。
――敗者復活戦の第2ピリオドは?
天野 一回バックを取れそうなところがあって、あそこで取っていれば流れが変わっていた。そこを取り切れる技の正確さが足りなかった。あそこで相手に勢いずかせてしまって、後半ずるずるいってしまったのかな、という印象です。
――ロンドン・オリンピック予選は、世界選手権の経験なく参加されたわけですが、今度はオリンピック予選の前に世界選手権を経験できた。その意味は?
天野 目標としているのがオリンピックであり、その前の予選で出場枠を取ること。ロンドンの前は予選で初めて世界を経験し、かなり緊張して自分のやりたいことが何もできなかった。今年、イラン遠征とかに参加させてもらうなど海外を経験させてもらい、世界選手権も経験できたのは、来年の自信になり、落ち着いてできると思う。今回は笹本コーチのアドバイスがよく聞こえた。冷静にできた証拠だと思う。
――今後の勤務と練習の兼ね合いは?
天野 (中大職員として)フルタイムで働いています。だから練習ができない、ではなく、仕事をしながらレスリングを一生懸命やることに価値があると思う。確かに、二束のわらじを履くのはどうか、という意見があると思うが、自分の心の中では、そういう状況の中で世界でやるというのが、やりがいでもある。学生の面倒も見ていますが、学生に自分の姿を見せるもの、今しかできないコーチとしての役目だと思っているので、精いっぱい頑張りたい。