※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
帰国した女子チーム。選手をねぎらう(左から)坂本涼子コーチ、その右が齋藤将士監督。
齋藤将士監督(警視庁)は、出発する前に「勝つムードをつくること」を課題として掲げ、そのおため選手に、前向きな姿勢を崩さないこと、応援してくれる人への感謝の気持ちを忘れないこと、日本チームにふさわしい行動をとり全員で闘うこと等をリクエストしたという。
遠征を通じてそれらの行動が随所に見られ、「金4、銅2を取っての団体優勝という結果となって表れた。みんなで闘った成果であり、チーム全体で勝った。シニアでやっていくことにつなげられる内容だった」と評価。今後も切磋琢磨し、日本女子全体で実力をアップしてくれることを期待した。
技術的には、「タックルなど攻めるレスリングができた。メダルを取れなかった2選手も、攻めてポイントを取られたこともあり、攻撃の姿勢はあった」という。組むだけではなく相手を動かす組み手を覚え、フェイントをつかって攻める技術を磨き、タックルに入ってからの処理をきちんとマスターしてほしい」と、さらなる技術マスターを望んだ。
坂本涼子コーチ(兵庫・芦屋学園中監督)は、指導者としては初の海外遠征帯同で、遠征となると1996年世界選手権以来、18年ぶりとのこと。「遠征の経験のある選手ばかりだったので、減量、体調管理、ウォーミングアップなど、しっかりこなせる選手ばかりだった」と、選手の”大人ぶり”に舌を巻く。
試合では、動いて、フェイントをつかってタックルに入ることが決まっていたそうで、「(外国選手に)力負けするというイメージはなかった。組み手でも勝っていて、組んでも負けないのがびくりした」と、自分の現役時代よりはるか上のレベルで闘いが展開していると感じたようだ。
しかし、「タックルに入っても止まってしまうと、外国選手の方が強い。バンと当たって一気に倒せる強さが必要」と課題を掲げた。
団体優勝の日本チーム
■48kg級・宮原優(東洋大)「最後のジュニアの大会なので、優勝できてホッとしています。階級を変えたので(昨年は51kg級)挑戦する気持ちで闘いました。決勝だけが、テクニカルフォールできませんでしたが、自分から攻めていて、相手に攻め込まれたシーンはなかったので気にしていません。相手の膝が柔らかくてポイントにつなげられませんでした。もう少し、きっちり攻めれば大差になったと思います。正式な48kg級では初の優勝。ばてとかは感じませんでしたので、今後につながるものがありました。全日本学生選手権は入江ゆきさん(九州共立大)も出る予定ですし、頑張ります。そのあとは全日本選手権へ向けてしっかりやっていきます」
■59kg級優勝・川井梨紗子(至学館大)「ジュニアでは優勝しなければ駄目と周囲に言われていて、優勝できてホッとしています。目標は(伊調)馨さんなので、ここで負けてはダメだし、接戦していてもダメだと思いました。欧州ジュニア・チャンピオンにも圧勝できましてけど、1回戦でアンクルホールドをかけた時に背中をついて2点を取られたのが残念。無失点で勝ち抜きたかった。タックル以外の部分も強化したい。妹(昨年の世界カデット選手権初戦敗退が今年は3位に躍進)も頑張っているので、私も頑張らなければならないという気持ちです。次はインカレ(全日本学生選手権)に出ます。勝たなければなりません」
■67kg級・古市雅子(JOCエリートアカデミー/東京・安部学院高)「うれしいです。(世界カデット選手権から通算して世界4連覇を指摘され)それはカデットとジュニアでのことですから…。シニアで闘える強さを身につけたいです。力も技術もまだまだです。決勝では片足タックルにいったところを、かにばさみで4点を取られました。これまでに受けたことのない技で、いい経験になりました。パワーをつけ、組み手を中心にした技術を身につけてシニアで通じる選手になりたい」