※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子、撮影=保高幸子) 長谷川敏裕(東京・自由ヶ丘学園)
長谷川は「力が足りないと思って、筋トレを毎日こついこつとやってきた。無失点で勝ち抜けたことがよかった」と優勝をかみしめた。
2年生の昨シーズンは全国高校選抜大会50kg級の王者になり、インターハイ王者も視野に入れていた。だが、準々決勝で高橋拓也(茨城・霞ヶ浦)に「3年生の意地と体力に負けた」と、ベスト8に終わった。
再起をかけた10月の国体では決勝に進むものの、インターハイ王者の成國大志(三重・いなべ総合)に敗退。スーパールーキーの力にねじ伏せられての敗北だった。今年3月の全国高校選抜でも、藤田雄大(三重・いなべ総合)に負けて3位と、3大会連続で“全国”タイトルを逃していた。 決勝の序盤、エビ固めでけりをつけた長谷川(青)
スパーリングは、昨年の世界選手権・男子フリースタイル66kg級代表の井上貴尋コーチが相手をしてくれた。奥山恵二監督は「井上先生が体をはって生徒たちとスパーリングをしてくれましたので、だいぶ力がつきました」と長谷川の成長に目を細めた。
負け続けた昨シーズンの悔しさをばねにしたことに加え、3年生で最後のインターハイという思いも長谷川を強くした。決勝の相手だった吉村は2年生。奥山監督も「3年生の意地がありましたね」と振り返ったように、吉村には何もさせずに完勝した。
長谷川は、「国体も勝ちたいです」と技術、パワー、スピード、スタミナすべてをさらに磨き上げて、10月の長崎国体でも優勝することを誓った。