2014.08.09

【インターハイ・特集】決勝で鮮やかなフォール勝ち! 3年の意地“見せ返した”…55kg級・長谷川敏裕(東京・自由ヶ丘学園)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)

 1年半ぶりの“全国王者”だ! インターハイの男子55kg級は、長谷川敏裕(東京・自由ヶ丘学園)が決勝で吉村拓海(埼玉・埼玉栄)をわずか58秒、エビ固めでフォール勝ちして大会初優勝を達成。2013年3月の全国高校選抜大会以来、1年半ぶりに“全国”タイトルを手に入れた。

 長谷川は「力が足りないと思って、筋トレを毎日こついこつとやってきた。無失点で勝ち抜けたことがよかった」と優勝をかみしめた。

 2年生の昨シーズンは全国高校選抜大会50kg級の王者になり、インターハイ王者も視野に入れていた。だが、準々決勝で高橋拓也(茨城・霞ヶ浦)に「3年生の意地と体力に負けた」と、ベスト8に終わった。

 再起をかけた10月の国体では決勝に進むものの、インターハイ王者の成國大志(三重・いなべ総合)に敗退。スーパールーキーの力にねじ伏せられての敗北だった。今年3月の全国高校選抜でも、藤田雄大(三重・いなべ総合)に負けて3位と、3大会連続で“全国”タイトルを逃していた。

 負け続けたことで、レスリングのセンスだけでは勝てないと気がつき、自分の弱点を見つめなおした。「高橋選手にはスタミナが足りなかった。成國選手や藤田選手には、力が劣っていた」と、毎日筋肉トレーニングを課してパワーアップをはかり、スタミナをつけるためにスパーリングを積極的行った。

 スパーリングは、昨年の世界選手権・男子フリースタイル66kg級代表の井上貴尋コーチが相手をしてくれた。奥山恵二監督は「井上先生が体をはって生徒たちとスパーリングをしてくれましたので、だいぶ力がつきました」と長谷川の成長に目を細めた。

 負け続けた昨シーズンの悔しさをばねにしたことに加え、3年生で最後のインターハイという思いも長谷川を強くした。決勝の相手だった吉村は2年生。奥山監督も「3年生の意地がありましたね」と振り返ったように、吉村には何もさせずに完勝した。

 長谷川は、「国体も勝ちたいです」と技術、パワー、スピード、スタミナすべてをさらに磨き上げて、10月の長崎国体でも優勝することを誓った。