※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子、撮影=保高幸子) 男子史上9人目の1年生王者に輝いた乙黒拓斗(東京・帝京)
その中でトーナメントを勝ち抜いたのは、JOCアカデミー所属の1年生、乙黒拓斗(東京・帝京)。決勝で、谷山拓磨(京都・京都八幡)を7-0で破ってチャンピオンに輝いた。乙黒は「緊張せずに臨めて、最初から攻めに行けたのがよかったです」とにっこり話した。
春の王者不在とはいえ、1年生が勝ち抜くには非情に壁が高い大会だ。乙黒は「(先輩たちとの)力の差は感じていたので、相手に力を使わせないレスリングをしました」と、アンクルホールドなどを多用し、力でなく技で勝負をかけた。その作戦が功を奏し、3回戦では学校対抗戦で優勝した花咲徳栄(埼玉)の主将、齋藤僚太にも第1ピリオド、テクニカルフォールで勝った 決勝で闘う乙黒
昨年の全国中学選手権で敗れた時(4回戦)、会場で一番の歓声があがった。「アカデミーはいつもアウエーです。ショックな時もあるけど、それだけ注目されて期待されていると思っている」と、アカデミー選手ならではの試練をプラス思考で力に変えてきた。
現在は成長期まっただ中。身長も伸び盛りのため、来年は55kg級に階級アップを見据えている。階級を上げればさらなる強敵が待ち受けているが、「チャレンジャー精神で勝てるように頑張ります」と躍進を誓った。