2014.08.06

【インターハイ・特集】3年生でやっと高校3冠王に王手…男子66kg級・藤波勇飛(三重・いなべ総合学園)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)

 全試合無失点の完全優勝で個人戦MVP獲得! インターハイの男子66kg級は藤波勇飛(三重・いなべ総合)が決勝で中村剛士(埼玉・花咲徳栄)を1分53秒、フォールで勝って初優勝し、3月の全国高校選抜大会とともに春夏連覇を達成した。5試合中3試合がフォール、2試合がテクニカルフォール勝ちで、無失点が評価され、個人戦の最優秀選手賞を受賞した。

 優勝した瞬間、「かっこよくクールに決めたかった」と、特にガッツポーズなど派手な喜びを表さなかったが、内心は別。「インターハイでは負けてばかりで、やっと、やっと勝てました。ホッとしています。全国高校選抜大会とは全然うれしさが違います」と優勝をかみしめた。

 全国中学選手権大会で男子史上4人目となる3連覇を達成し、高校でもどれだけのタイトルを獲るか注目されていた。だが、全国高校選抜大会では2連覇したが、インターハイでは勝ち切れず、昨年までの2度の大会で優勝できなかった。

 昨年は文田健一郎(現日体大)に敗れて表彰台も逃した。昨年の文田は、高校生ながらグレコローマンで全日本選手権3位に入るなど別格の強さを持つ選手。藤波の父で監督の藤波俊一監督は「去年の負けは、あの文田選手がいたからと言える部分はあったけれど、それでもインターハイ優勝に3年かかるとは…」と、思った以上に苦戦した夏の大会を振り返った。

 2020年東京オリンピック招致が決まり、藤波はターゲット選手に選出された。高校生ながらナショナルチームの全日本合宿に参加し、ワンランク上の技を磨いてきた。藤波自身は「全日本合宿に参加して、意識が高くなった」と成長を感じている。

 これで念願の高校三冠王に王手をかけた。「正直なところ、2年生で達成できると思っていました。このチャンス、絶対に逃しません」と、10月の長崎国体でも完全優勝を誓った。