2014.07.13

世界学生選手権の女子チームが帰国

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 ハンガリー・ペーチで行われている世界学生選手権で、女子55kg級で金メダルを獲得した浜田千穂(日体大)を含めた女子チームが7月12日、成田空港着のオーストリア航空で帰国した。

 優勝は出したものの、3階級で勝った昨年のユニバーシアードに比べれば、ちょっぴり寂しい成績。国別対抗得点でも表彰台を逃した。嘉戸洋監督(環太平洋大教)は「階級変更があり、適正な選考できなかった。特に体力で劣っていた。技術やスタミナで補っていたが、追いつかなかった」と分析。67kg級の選手が69kg級で、72kg級の選手が75kg級で闘わざるを得なかったハンディを苦戦の一因として挙げた。

 それ以外にも、「もっとタックルで取ってほしかった。入ってしまえば取れるけど、自信がないのか、勇気がないのか、タックルをためらうケースが少なくなかった」こともひとつの原因。外国選手特有の脇差しや腕取りからの攻撃に対応できず、腕を取られたまま、切ることもできずに時間がたてしまうことあったという。

 「差してきたり、腕を取られて戸惑ってしまい、自分のレスリングができなかった。腕を取ってくる相手への対応をしていなかいとならない」と、今後の課題を挙げた。

 志土地翔太コーチ(至学館大職)は「初めて女子の遠征に参加し、外国選手はしつこく、強引に投げに来ることがあることなど多くのことが勉強になった。今後の指導に生かしたい」と話した。

 この日は、勤務の都合で多賀恒夫副団長(明大教)も帰国。男子フリースタイルと女子を総括し、「勝った選手は、脚を攻めてポイントを取れる選手。勝てない選手はそれができない選手だ。あと、がぶりからの攻撃と、くっついてくる選手に対する対応。この3つができている選手が勝っている」と分析。

 女子でも、「外国選手はとにかく組みついてくる。日本のように動いて攻撃を仕掛けてくるようなことは少ない。ただ、考えようによっては、タックルがしっかりでてきてさえいれば、組みにくる選手の方が攻撃しやすいかもしれない。もつれることなく、一気にもっていくタックルが必要。それができれば、もっと金メダルが増えたはず」と振り返った。

 学生選手の強化のため、日本協会の高田裕司専務理事や栄和人強化委員長から夏休みや春休みに協会主催による学生を中心とした合宿を持ちかけられている。「学生連盟は大歓迎。全面的に協力します。日程を調整して必ずやりたい」と、今後の学生の強化に意欲を見せていた。


  ■55kg級優勝・浜田千穂(日体大)の話「2年前の大会は1回戦負けだったので、今回は優勝を目指してきた。海外での金メダルは素直にうれしい。1、2回戦は全部タックルでのポイント。グラウンドでは返せなかったけど、自分から取りにいって取れたのはよかった。決勝(欧州3位)も、いつもよりタックルに入れたけれど、取り切れない部分もあった。今後の練習で克服していきたい。今までの(国際大会の)優勝はジュニアの大会。今回勝てて、一歩ずつ階段を上っている感じです。このあと、ゴールデンGP決勝大会、世界選手権と続く。今回の経験を生かして頑張りたい。世界選手権での金メダル獲得が目標です」

 ■48kg級2位・伊藤史織(至学館大)の話「(去年の)世界ジュニア選手権に出場した時は、まったく歯が立たなかった。今回は決勝まで行けてうれしい。ただ、決勝が終わって表彰を待っている間に悔しさがこみあげてきて、涙が出てきてしまった。周りにいた外国選手から『グッド』と言われたけど、表彰台の上でも泣いてしまいました。それでも、今後につながる銀メダルだと思いますので、今はうれしい気持ちです。決勝はタックルに入ることができなかった。自分からポイントを取る技をもっと身につけることが課題となりました」

 ■53kg級3位・田中亜里沙(早大)の話「優勝できる大会でした。(準決勝は)負ける相手ではなかった。無理な返し技をしてしまってフォールされ、情けない負けた方でした。普通に(ポイントを)やってもいいケースだった。相手をなめていた自分を感じましたけど、これが今の実力なんだな、とも思います。3位決定戦は気持ちを切り替えて闘うことができ、ポイントをやらずに勝つことができた。夏はインカレ(全日本学生選手権)を目標に一生懸命頑張りたいと思います」

 ■58kg級3位・樋口美賀子(環太平洋大)の話「(村田夏南子の負傷辞退で急きょ出場が決まり)せっかくのチャンスなのだから、生かさなければ、と思いました。気持ち的に問題はなかったのですが、減量面できつかったのは確かです。海外での試合経験が少ないので、初戦は緊張してしまって、勢いだけで闘ってしまいました。国内で勝てても、海外の選手には全然勝てないことが分かりました。自分のレスリングを見つめ直し、反省点に取り組んでいきたい。目の前の大会をひとつひとつ勝っていきたい」