2011.11.16

【全日本大学選手権・特集】抜てきにこたえ、チームに団体優勝をもたらす…120kg級・村木孝太郎(拓大)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

全日本学生選手権グレコローマンに続いて前川を撃破した村木

 来年のぎふ清流国体リハーサル大会として行われた全日本大学選手権の“メーンイベント”を務めた120㎏級決勝は、団体優勝を争う拓大と早大の一騎打ちとなり、拓大の村木孝太郎が勝利して、拓大の3年連続優勝を決めた。

 通算V5を目指す拓大の代表は、2年生で全日本学生選手権グレコローマン120㎏級を制した村木孝太郎。初優勝を目指す早大は、4月の全日本選抜選手権グレコローマン120㎏級王者で、6月には海外遠征メンバーにも選ばれたスーパールーキーの前川勝利。

 このカードは、全日本学生選手権グレコローマン120kg級決勝の再戦で、その時も村木が2-0で勝っている。前川としては、早大入学直後に“日本一”に駆け上ったものの、学生の大会で勝ったのは4月のJOC杯ジュニアオリンピックのみの1年間。自分のために、そして早大優勝のために、気持ちは十分に入っていた。

■スーパールーキーを2度にわたって撃破

 試合開始直後、前に出たのは前川で、村木は「手足が長い、前川のようなタイプは苦手」と押され気味だった。だが、村木は2年生にして拓大重量級の主力に抜てきされた期待を裏切ることはできなかった。0-0のあと、前川の攻撃権で始まった第1ピリオドのクリンチでは、クラッチを切ってスタンドの状態に戻し、最後は投げの打ち合いへ。

不利な状況から前川を倒して勝利を手にした

 「団体優勝もかかっていたから」と、不利な状態から起死回生の投げを打って3点を奪った。この最後のアクションで、前川がひざのじん帯を損傷。大事をとって棄権し、村木が優勝を手にした。

 「やっと点が入ったと思ったら、(前川)が倒れていた。うれしいけど、複雑」と前川のけがを心配した村木だが、スタイル違いで今季二個目のタイトルをゲット。「大学に入ってからずっと負けっぱなし。(大学に入ってすぐ全日本選抜で優勝した前川を)うらやましかったし、悔しかった」と振り返る。

 その相手に、両スタイルの決勝の舞台で下したことは、大きな自信になったはずだ。今後の課題は「(インカレで)優勝したと思ったら、(全日本大学グレコローマン選手権などで)表彰台に上がれない時もあり、結果にむらがあること」の克服。コンスタントに表彰台をキープすることが目標だ。

 12月の全日本選手権はフリーで出場予定。「重量級らしくないレスリングで、めちゃくちゃ動いて動けるデブになりたいです」と抱負を話した。