※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
父・栄勝さん(享年61歳)を亡くした吉田沙保里選手は3月13日、三重県津市での通夜の前に報道陣に対応し、15日(土)~16日(日)に東京で行われる女子ワールドカップへの出場を明言した。14日の告別式のあと東京へ向かい、計量に臨む。
栄和人・女子強化委員長に付き添われて報道陣の前に出た吉田選手は、時おり顔を手で覆うなどしながらも、ワールドカップ出場を決意した経緯や父の思い出を話した。
ロンドンのマットで栄勝さんを肩車した吉田沙保里選手
2日間、(家族の)みんなとお父さんさんと話をして、「絶対に出ろ」と言っていると思うので、出場します、日本チームが優勝すれば喜ぶと思う。お父さんのためにも、優勝するように頑張りたい。明日(14日)、告別式が終わった後、メディカルチェックに間に合うように東京に向かい、チームと合流したい。
この2日間、動いていないので、変な試合をしてしまう、とかいろいろ考えたけれど、お父さんは「絶対に出ろ」と言っていると思う。中学3年生の時、手首を骨折してボルトが埋まっている時でも「出ろ」と言った人です。出て頑張り、優勝したい。
レスリングの話しかしない人。(私が)テレビに多く出ている時でも、「練習しているのか?」と心配してくれるほどレスリングの話をした人です。守りの選手でした。オリンピックの選考会で、タックルに入られて負けてしまったので、子供たちにはタックルで前に出るレスリングを教えくれました。
最初聞いた時は信じられなかった。合宿に行くために合流するつもりだったのに、なかなか来なかった。会ってみるまで、信じられなかった。血圧が高く、薬を飲んでいましたが、こんなに早く逝くとは思っていなかった。私を育ててくれて、「ありがとう」と言いたい。金メダルを取って恩返しできたかな…。ロンドンで金メダルを取った時、「最高」と言ってくれました。
「人に迷惑をかけるな」とも言っていました。パーキング(注=路肩)に車を入れてなくなったと聞いている。最後まで責任をもって行動しました。人に迷惑をかけずに一人で亡くなり、最後まで生き方を教えてくれました。
生きている時はあまり会話がなかったけれど、なくなった後の2日間、ずっと家にいて、「肩車できてよかったよ」とか、「ここまでやってこられたのは、おお父さんさんのおかげだよ」とかの話をしました。「本当にありがとう」と言いました。国民栄誉賞もお父さんのおかげで取ることができました。今もいい顔をして眠っています。笑顔でずっと見てくれると思います。
今回、気持ちを切り替えてやっていきたい。天国から見てくれていると思うので、教えてもらったことを、今までと同じようにやっていきたい。新しい階級になったばかりの大会で、楽しみにしました。見せたかったけれど、天国で見てくれていると思う。オリンピックで3連覇した時、「ありがとう」と言えたので、よかったです。
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