2014.02.19

男子フリースタイルの全日本チームがイラン・トルコ遠征から帰国

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

2月2日からイランとトルコに遠征していた男子フリースタイルの全日本チームが2月18日、足かけ17日に渡る遠征を終え、成田空港着のトルコ航空で帰国した。

 イランでの「タクティ・カップ」は60kg級の高塚紀行(自衛隊)が3位に、トルコでの「ヤシャ・ドク国際大会」では57kg級の森下史崇(日体大)が2位に、高橋侑希(山梨学院大)が3位に、ぞれぞれ入賞とメダルを持ち帰ったが、小平清貴監督(警視庁)は「2大会通じて優勝者を出すことができなかったのは残念だ。その中でも、(軽量級は)世界で闘える手ごたえがあったものの、中重量級は課題が多く残った」と満足はしていない。

 「新階級の体が作れていないということが一因かもしれない。日本選手は一回り小さく感じた。外国選手は、階級が違っても対応が早い。階級の違いを気にせずに闘っているようだ」と振り返り、新階級への早急な対応を課題とした。

 ただ、両大会ともレベルが高く、「いい経験ができた」と言う。「タクティ・カップ」はアジア圏の選手が多く出ており、9月に控えるアジア大会(韓国・仁川)へ向けて、「いい勉強になり、いい情報収集になったと思う」と言う。ヤシャ・ドク国際大会は、米国がロンドン・オリンピック74kg級王者のジョーダン・バローズを含めたチームが参加し、その他にもオリンピック・チャンピオンがいて、学ぶことが多かったようだ。

 「タクティ・カップ」が終わったあとのイランでの合宿は、「何もないところで、レスリングに集中するには最高の場所でした」と振り返った。

 全日本王者の多くは、来月15日(土)~16日(日)に米国・ロサンゼルスで行われるワールドカップに出場する。「今度は世界のトップ10が集まる大会(注=日本はキューバ辞退による繰り上げ出場)。ここでもいい経験をしてほしい」と、冬の海外遠征の最後の踏ん張りを期待した。


 ■タクティ・カップ60kg級3位・高塚紀行(自衛隊)「長い期間の遠征で体調管理が難しく、合宿で調子上げ切れなかったのが正直なところ。いい経験とし、今後、試合が続く時に役立てたい。(タクティ・カップで負けた)フェドリシンは、最初にポイント取られ、追いかける展開になってしまった。外国選手相手には最初の失点を最小限に抑え、後半勝負が自分のパターンになると思う。それを見つけるきっかけとなった。3位決定戦の相手は過去負けたことのある相手。勝てたことで、少しずつ上がっているとは思う。(従来より1kg上の61kg級について)これまで最後の1kg落とすのがきつかった、その1kgがないのは楽だけど、外国選手はその分、大きな感じがしました。筋力をつくって臨みたい」

 ■ヤシャ・ドク国際大会57kg級2位・森下史崇(日体大)「最初のタクティ・カップは思うような成績ではなかったけれど(4回戦敗退)、ヤシャ・ドク大会でメダルを取れて、ひとまずよかった。決勝の相手のモンゴル選手は、顔は見たことありましたが、どんな選手かは知りませんでした。自分の展開がつくれずに相手のペースになってしまった。(準決勝で)世界3位の選手を破れたことは、自信にはなります。(従来から2kg上の階級について)大きな選手ばかりでびっくりしました。体づくりをして、負けたいようにしたい。遠征の2週間は長く感じたけれど、慣れない環境下でコンディションづくりを試み、いい経験になったと思います」

 ■ヤシャ・ドク国際大会57kg級3位・高橋侑希(山梨学院大)「タクティ・カップは初戦で勝って、2回戦で優勝選手に負けた。ずるいうまさがあった。それに合わせずに、自分が先に攻めるレスリングをしたい。ポイントは取れたので、いいところを伸ばし、悪いところを修正していきたい。(ヤシャ・ドク大会で)メダルは取れたけれど、もう少し高い目標だった。ただ、最低限のことができてきたので次に向けて頑張りたい。(従来から2kg上の階級について)55kg級に比べて大きかった。2kgオーバー計量(59kgで計量)の大会だったので、よけいそう感じました。負けたモンゴル選手は、去年の世界ジュニア選手権60kg級2位の選手。60kg級から落としてくる選手もいることが分かった。体づくりを頑張りたい。試合~合宿~試合は、モチベーションの維持が大変で、疲れもたまってくる。その中で疲れないような方法を考えたりもしたので、こうした経験が今後に生きてくるような気がした」