2014.01.14

和田貴広体制が始動…男子フリースタイルの全日本合宿がスタート

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

昨年12月に新体制となった男子フリースタイルの最初の全日本合宿が1月13日、東京・味の素トレーニングセンターで始まり、全日本選手権1、2位の選手を中心とした約30人が汗を流した。

 和田貴広・新強化委員長(国士舘大教)は「目標と目的はリオデジャネイロ・オリンピックの金メダルだが、今年もアジア選手権、世界選手権、アジア大会での金メダル獲得を目指す。ロンドン・オリンピックで金メダルを取ったのは過去のこと。0に戻し、ロシアやイランなど強い国を引きずり降ろしてほしい」と激励。

 「試合のマットに上がるのは1人であっても、スタッフ全員がマットに上がるつもりで頑張る。スパーリングを何本やったかや、息が上がったかが問題ではない。本当にポイントを取って勝つ練習をやっているかどうかが問題だ」と、試合を意識した練習を注文した。

 田南部力コーチ(警視庁)は「ロンドン・オリンピックまでコーチを務めた経験を、これからも伝えていきたい。お互いに切磋琢磨してほしい。一番努力した選手がオリンピックへ行ける」とあいさつし、参加したコーチも選手への熱い思いを伝えた。

■イラン遠征へ向けて気持ちを高める選手たち

 今回も主将役となったロンドン・オリンピック74kg級代表の高谷惣亮(ALSOK)は「目指すところはどんな時でも世界一ですが、新体制になって、やはり新鮮な気持ちになれるというか、集中した練習ができました」と振り返る。

 今年からフリースタイルとグレコローマンと分かれて合宿することになり、練習場所を広く使えることになった。「狭い中で集中してやる練習も必要ですが、周囲を気にせず、マットを十分に使って自分の位置を考えながら練習することも必要。いいですね」と、新しい環境のもとで、新しい練習スタイルを確立していけそうだ。

 2月からはイラン遠征を控えている。昨年の世界選手権ではイランの選手に負けており、リベンジの絶好の機会。「自分の位置を知るために闘うのもいいですが、勝たなければ意味がないので、勝ちにいきます」と気合十分。拓大の先輩の米満達弘(自衛隊)が拓大時代のイラン遠征で強くなったことを聞いており、「強くなって帰ってきます」と言い切った。

全日本王者としては6年ぶりの全日本合宿参加となる旧60kg級の高塚紀行(自衛隊)は「整列の一番前で参加できるのはモチベーションが上がります。イラン遠征へ向けて、しかり体をつくっていきたい」と話す。

 常に2番手、3番手の位置にはいて全日本合宿には参加していたが、「(チャンピオンの)練習パートナーとしての参加という時もあり、気持ちが乗らない時もあった。そんな練習をしていたから向上がなかったのかもしれない。トップになったことで壁を乗り越えた。世界で成績を残したい。まず61kg級で世界チャンピオンを目指す」と、気持ちの充実を話した。

 今月からルールが変わり、フリースタイルのテクニカルフォールは10点差となる。「これまで以上にスタミナ必要になってきます。脚を止めないで動き切ること」が課題。そのためにも、イラン遠征で徹底的にスタミナ強化をはかる予定。世界3位になった時(2006年)に世界王者に君臨していたのがイラン選手で、「粘り強く、スタミナがすごいのがイラン選手」だったからだ。

 イラン選手に勝るスタミナを身につけることが実力アップにつながると思っている。「イラン選手に根負けしないレスリングを身につけたい」。28歳のベテランがリオデジャネイロへ向け、魂を入れ直して走り始めた。


田南部力コーチ(中央背中)の技術指導

松永共広コーチのアンクルホールド

チーム唯一のオリンピアンであり主将の高谷惣亮(ALSOK)

全日本王者としては6年ぶり参加の高塚紀行(自衛隊)