※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
樋口黎(茨城・霞ヶ浦) | 文田健一郎(山梨・韮崎工) | 木下貴輪(鹿児島・鹿屋中央) | 奥井眞生(和歌山・和歌山工) |
浅井翼(京都・京都八幡) | 白井勝太(JWA/東京・帝京) | 武田光司(埼玉・埼玉栄) | 園田平(滋賀・日野) |
男子フリースタイル74kg級 浅井翼(京都・京都八幡高→拓大進学予定)
ここ2年間、「三強の争い」と言われた高校の74kg級。中学までに最も実績を残していないのが浅井翼だが、最終学年のインターハイを制したのは浅井。3年前の全国中学生選手権の準決勝で1点も取れずにフォール負けした白井勝太を破っての優勝。3年間の成長を感じさせるインターハイ王者だった。
この階級でオリンピック3度を含めて世界一に9度輝いたブバイサ・サイキエフ(ロシア)的な手足の長い体型。ローシングル(低い片足タックル)を必殺技に、急成長を遂げた。 全日本選手権で闘う浅井翼(京都・京都八幡高)
大器の片りんは、2年生の12月に出場した全日本選手権で表れていた。この年の全日本大学選手権2位の選手を破り、学生二冠王に輝いていた嶋田大育(国士舘大)からポイントを奪う善戦。
翌年4月のJOC杯では、嶋田相手に「あわや」という試合をやってのけ(結果は1-1.0-1の黒星)、1ヶ月半後の全日本選抜選手権では、前年の84kg級大学王者と激戦の末、11-9で破る殊勲。高校でのタイトル獲得は同世代のライバルの中で一番遅かったものの、シニアで通じる潜在力を最も示したのが浅井。このあたりにも、将来を見据えた強化の成果が出ていると言っていいだろう。
進学する拓大では、ロンドン・オリンピック代表であり2013年世界7位の高谷惣亮(ALSOK)と毎日練習できる強みがある。高谷のオリンピック2大会連続出場を脅かし、世代交代を実現するか。
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■浅井翼(あさい・つばさ)の話「(白井勝太、奥井眞生ら中学時代に実績のある)ライバルに努力で追いついてきたと思っていますが、最後の大会(全日本選手権)がダメだったので、悔いが残りました。全日本選手権を闘ってみて、さらに努力しなければならないことが分かりました。パワーが足りない。大学では体幹の強化のため筋力トレーニングに励みたい。ライバルがいい成績を残しても、焦ることなく、自分のペースで強くなっていきたい」
■京都八幡高・浅井努監督(=父)の話「中学までは実績のない選手。入学後のスパーリングでは自分の方が強かったけれど、3年生の時はかなわなくなるほど成長してくれた。最後の1年間はどうやって練習メニューを組むか苦労した。足首にいくタックルを反復し、よく身につけてくれたと思う。中学までの実績では、2人のライバルとは雲泥の差。追いつき、追い越すことを目標に頑張れたと思う。子供が旅立つのは寂しいが、上のレベルへ行って頑張ってほしい」
■拓大・須藤元気監督「何度か拓大の練習に加わっていますが、貫録があって、高校生という感じではないですで。腹がすわっています。相手が4年生であっても遠慮することなくぶつかっていける選手です。1年生の時から結果を出してくれるのではないでしょうか。期待されていることを、いい意味でのプレッシャーを感じ、エネルギーに変えてほしい。高谷(惣亮)と同じところで練習するわけですが、強い選手と毎日練習するのですから、必ず強くなれます」
◎2013年の成績
【3月:全国高校選抜大会・学校対抗戦】=初戦敗退
74kg級1試合に出場し2-0勝ち=旧ルール
【3月:全国高校選抜大会・個人戦】=2位(74kg級)
準決勝で白井勝太に2-0で勝つも、決勝で奥井眞生にフォール負け。
【4月:JOC杯】=3位(ジュニア・フリースタイル74kg級)
4回戦でライバル白井勝太を撃破。続く試合で嶋田大育(国士舘大)に善戦するも0-2で敗れる
【8月:インターハイ・個人戦】=優勝(74kg級)
準決勝までの4試合をテクニカルフォール勝ち、決勝は判定勝ち。総得失点は34-3(1試合平均タイム2分17秒)
【8月:インターハイ・学校対抗戦】=準々決勝で敗退
74kg級で3試合に出場。テクニカルフォール勝ち3試合。総得失点は26-3(1試合平均タイム2分1秒)
【8月:全国高校生グレコローマン選手権】=不出場
【10月:国民体育大会】=優勝(フリースタイル74kg級)
4試合をテクニカルフォール勝ちで圧勝。総得失点は32-0、総タイムは6分18秒(1試合平均タイム1分35秒)