※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
樋口黎(茨城・霞ヶ浦) | 文田健一郎(山梨・韮崎工) | 木下貴輪(鹿児島・鹿屋中央) | 奥井眞生(和歌山・和歌山工) |
浅井翼(京都・京都八幡) | 白井勝太(JWA/東京・帝京) | 武田光司(埼玉・埼玉栄) | 園田平(滋賀・日野) |
男子フリースタイル74kg級 奥井眞生(和歌山・和歌山工高→国士舘大進学予定)
全日本選手権で2012年学生二冠王に善戦した奥井眞生(和歌山・和歌山工高)
小学校3年生の時、2004年アテネ・オリンピック代表の井上謙二(自衛隊)がクラブに来たことで、オリンピックへのあこがれが芽生えた。全国少年少女選手権優勝を経て、2010年に和歌山県から23年ぶりの全国中学王者へ。
和歌山工高では、湯元健一・進一兄弟を育てた山路明監督の指導を受け、1年生の国体で、3年生の全国高校生グレコローマン王者を破って優勝するほどに成長。翌年、ロンドン・オリンピックの直前に行われたインターハイでは2年生王者に輝き、国体は2連覇。押しも押されもせぬ期待の高校生選手に飛躍した。
3年生のインターハイは前年勝っていた白井勝太にリベンジされて優勝を逃してしまったものの、この年、全国高校選抜大会、全国高校グレコローマン選手権(2連覇)、国体グレコローマン(3連覇)を制した実力を損なうものではない。全国高校生グレコローマン選手権は6試合に要した時間が5分27秒。すなわち1試合分のエネルギーで6試合を勝った。展開されたローリングの破壊力は抜群で、今後の大きな武器となりそうだ。
12月の全日本選手権では大学王者の山中良一(日体大)から5点を奪う善戦。敗者復活戦では前年学生二冠王者の嶋田大育(国士舘大)をあわやフォールに追い込む健闘。会場が大きく沸いた。来年は1年生の学生王者も期待される逸材。リオデジャネイロ・オリンピックまでに高谷惣亮(ALSOK)のが城を切り崩せるか?
■奥井眞生(おくい・まお)の話「とても充実した3年間でした。山路監督から指導を受けられて、そのおかげでいい成績を残せました。筋力トレーニングなど自分で研究してきた成果を出せたと思います。高校最後の大会の全日本選手権で、大学チャンピオンの山中(良一)さんとやれてよかったです。大学では和田監督から細かな技術を教えてもらい、嶋田(大育=2012年学生二冠王)さんを目標に強くなり、全日本のトップに食い込みたい。三強と言われたライバル(浅井翼、白井勝太)には負けたくない」
■和歌山工高・山路明監督「部員は少ない中で、こつこつ努力してくれました。器用なタイプではなく、地道に自分のものにしていく選手。何よりもレスリングが好きで、練習も大好きな選手でした。それがいい成績の要因だったと思います。国士舘大では和田監督の指導を受け、まず大学のレスリングに慣れ、それから飛躍してほしい。将来的には日本を代表する選手に育ってほしい」
■和田貴広・国士舘大監督の話「ひとつひとつの技がしっかりしている。パワーがあるし、グラウンドではローリングという確実性の高い技を持っているのが強みだ。ただ、それは高校レベルでのこと。大学では一段上の技術を持っている選手が多いので、研究し、練習を積み重ねてレベルアップさせてほしい。嶋田(大育)に挑むのではなく、競争するつもりで入学してほしい」
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◎2013年の成績
【3月:全国高校選抜大会・個人戦】=優勝(74kg級)
5試合をフォール勝ち3試合、2-0勝ち2試合。総得失点は32-6(1試合平均タイム2分21秒)=旧ルール
【4月:JOC杯】=ベスト8(ジュニア・グレコローマン84kg級)
大学生1人を含む2選手に勝った後、石田稔賢(日体大)に敗れる
【8月:インターハイ・個人戦】=3位(74kg級)
4回戦までの3試合をテクニカルフォール勝ち(総得失点25-0)、準決勝で白井勝太に1-3で敗れる
【8月:全国高校生グレコローマン選手権】=優勝(74kg級)
6試合をフォール勝ち3試合、テクニカルフォール勝ち3試合で圧勝。総得失点は31-0(1試合平均タイム0分55秒)。
【10月:国民体育大会】=優勝(グレコローマン74kg級)
4試合をフォール勝ち1試合、テクニカルフォール勝ち3試合で圧勝。総得失点は28-2(1試合平均タイム1分37秒)。3連覇達成。