※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=小林岳人、撮影=矢吹建夫) 3連覇を達成し、ホッとした表情の土性沙羅(至学館大)
最高の形で2013年を締めくくったように思えるが、優勝インタビューで「今年を振り返って」との質問に対し、「不満の残る年だった」ときっぱり。9月にハンガリーで開催された世界選手権での3位という結果に納得していない。準決勝では3-0とリードしながら首投げをくらい逆転フォール負けを喫してしまっては、満足いく結果と言えないのももっともだろう。
世界選手権後は、試合中に攻め続けられるよう今まで以上に体力をつける練習に力を注いだ。スパーリングに入る回数を増やし、ウエートトレーニングに力を入れたりした。その成果か、この大会の決勝では開始直後から積極的にタックルに入り、工藤佳代子(自衛隊)に反撃の隙も与えぬまま2分33秒で完勝。「攻め切ることができた」と振り返り、内容的にも満足のいく優勝を達成できた。
大学の1年先輩で、ハンガリーで世界チャンピオンに輝いた登坂絵莉(至学館大)の存在も大きい。「登坂さんの練習量の多さや気持ちの強さに刺激を受けています」と話し、尊敬する先輩と同じ環境で練習ができることが大きな刺激・発奮材料になっているようだ。
来年の目標は世界選手権での優勝だ。階級区分の変更で67kg級が消滅するため、63kg級か69kg級へのエントリーとなる。今回の全日本選手権に集中していたため、来年、どちらの階級にエントリーするかは未定というが、新階級で今年の世界選手権の悔しさを晴らすため、土性の新たな1年が始まる。