※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
優勝した村山貴裕をたたえる藤沢信雄監督
「2階級制覇という形で優勝できてうれしい。勝因は自分の得意技を全試合で出せたことです」。得意技というのはアンクルホールドで、決勝の伊藤大貴(明大)戦もこの技で仕留めた。1階級上での闘いは、「力が強かったです」とパワーの違いを感じたそうだが、組み合わず、離れたところからのタックルを心がけ、それが決まった。
春季は5試合すべてを第1ピリオドのテクニカルフォール勝ち、しかも失点0で勝った。1階級上の今回はそこまでの強さは見せられず、準決勝と決勝でポイントを取られて第2ピリオドにもつれた。しかし、準決勝は2点を失いながらもフォール勝ちし、決勝は第2ピリオド、9-2のテクニカルフォールで勝利。
すなわち、春秋の9試合すべてで6分間闘うことなく連覇するという素晴らしい内容。大東大に期待の新星が現れたと言っていい。
青森・八戸工高時代は、JOC杯カデット3位、東北高校大会優勝などがあるものの、インターハイは初戦敗退、国体はベスト8という成績。2つの全国大会は「納得のいかない負け方」だったそうで、このままで終わるわけにはいかず、「監督に恩返しがしたい」とレスリングを続けることを決めた。
決勝でも得意のアンクルホールドが爆発
藤沢信雄監督は「加藤は骨のある選手を選んで練習するヤツなんです。その加藤が、練習相手に指名する一人が村山です。階級もスタイルも違いますが、村山がポイントを取ることもあります」と説明する。オリンピアンに認められた素材に加え、同じ階級に昨年のこの大会で優勝した深川大輔がいて、ハイレベルできっ抗した選手同士の練習によって急激に力をつけていったと分析する。
村山は「インカレは4回戦負けでした。まだまだです」と現実を見つめ、強豪チームの選手は、「技が連続して出てくる。組み立てが違う」と感じている。技の精度や“破壊力”は同じでも、それを続けられるかどうかが、一流と二流の分かれ目。2季連続優勝というベースに技の連続性を上乗せすることで、学生のトップに近づくことができる。
大東大は、1992年バルセロナ・1996年アトランタ両オリンピックに鈴木賢一が、2008年北京オリンピックに加藤賢三が出場。藤沢監督が世界選手権で銀メダルを獲得したほか、五位塚悟がインカレ4連覇を達成するなど、全日本や学生界を代表する人材を輩出してきた。最近はそれらの活躍が影をひそめている。全日本学生選手権の優勝は2002年の加藤賢三以来、フリースタイルに限れば1992年の鈴木賢一のあと途絶えており、復活が待たれる。
「今回の優勝は自信になりました。来年以降、インカレや内閣(全日本大学選手権)で優勝できるように頑張りたい」。まず、全日本選手権(12月21~23日、東京)での闘いが注目される。