2013.11.05

11・9~10全日本大学選手権/展望…山梨学院大の2連覇なるか

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 全日本大学選手権は11月9日(土)~10日(日)、大阪・堺市金岡公園体育館で34大学が参加して行われる。昨年は、山梨学院大、早大、国士舘大が各2階級で優勝。山梨学院大が39.5点をマークし、大会史上初めて40点を切る得点での優勝という大激戦だった(優勝=12点、2位=9点、3位=6点、5位=3.5点、7位=2点、8位=1点)。

 山梨学院大は今年も3階級で優勝できる戦力を持つが、日大、日体大、早大、拓大も2~3階級での優勝を見込める。今年も激戦が予想される。

昨年優勝の山梨学院大

10月の全日本大学グレコローマン選手権でも、最低でも3位には入れると思われた選手が下位に沈むケースもあった。組み合わせによって個人順位、さらに団体順位が大きく変わるのがこの種の大会の特徴。今年も優勝ラインは「40点」か、「40点台の前半」くらいになるのではないか。

 山梨学院大は、昨年優勝の55kg級の高橋侑希と60kg級の鴨居正和のほか、120kg級に“不沈艦”オレッグ・ボルチンが控えているのが頼もしい。この3階級で36点(12点×3)をマークすれば、66kg級の濱本豊、84kg級の亀山晃寛で最低12点(6点×2)を見込み、48点を超える。

 思惑通りにいかないのが勝負の世界。高橋には森下史崇というライバルがいて、60kg級は大激戦階級。この2階級で優勝を逃すことも十分にありえるので、74・96kg級でも高ポイントを加えることで2連覇を目指したい。

 早大は74kg級の北村公平を84kg級に起用して勝負をかける。全日本学生選手権66kg級優勝の保坂健と北村で24点(12点×2)を稼ぎ、74kg級の花山和寛、96kg級の大坂昂、120kg級の前川勝利で18点(6点×3)を加えて42点。55・60kg級でいかに上乗せできるかが団体優勝のかぎとなりそう。

 日体大は、55kg級の森下史崇、66kg級の砂川航祐、74kg級の山中良一の3階級で優勝の可能性を高く持つが、森下には高橋侑希(山梨学院大)、砂川には保坂健(早大)、山中には島田大育(国士舘大)という強力な敵がいる。最悪の場合は昨年同様、優勝なしということもありうる。

 ただ、84・96kg級も3位には入れる力があるので、優勝が1階級だったり、0階級であっても、総合力で優勝を狙える戦力はそろっている。

 昨年2点差で2位に甘んじた日大は、今年は55kg級の池田智と96kg級の山本康稀の2階級で勝つことが団体優勝の絶対条件ではないか。84kg級の細谷翔太朗と120kg級の岡倫之も最低でも3位に入り、この4階級で36点(12点×2、6点×2)をマーク。他の3階級で上積みすることで優勝が見えてくる。

 一昨年の覇者・拓大は、昨年は12位と低迷してしまった。今年は60kg級に全日本選抜選手権王者、スーパールーキーの高谷大地を擁し、巻き返しをはかる。84kg級の赤熊猶弥にも優勝が期待され、この2階級は取らねばなるまい(12点×2)。

 55kg級の西山凌代、74kg級の岩渕尚紀、120kg級の園田新の3階級は、最低でも3位が必要。18点(6点×3)をマークし、42点をベースに残る2階級の健闘に期待したい。

 他に、国士舘大は74kg級の島田大育、専大は60kg級の伊藤和真に優勝のチャンスがある。1階級優勝でも団体優勝がありえるのがこの大会。全体の奮起で優勝に近づくことができるか。

《大会要項》


森下史崇

 【55kg級】

 8月の全日本学生選手権(インカレ)の決勝を争い、ここ数年間ライバル関係にある森下史崇(日体大)高橋侑希(山梨学院大)との争いが続く。今年は東日本学生リーグ戦と全日本選抜選手権で高橋が連勝、インカレでは森下が勝利。先月の国体では直接対戦はなかったが高橋が優勝し、森下は3位。高橋の方に傾いているような勢いを、森下が止めることができるか。

 全日本学生選手権3位の西山凌代(拓大)伊藤優(群馬大)がどこまで食い込めるか。早大は西洸大の上位進出にかける。


鴨居正和

 【60kg級】

 昨年の大会で勝ち、今年の全日本学生選手権(インカレ)優勝の鴨居正和(山梨学院大)が優勝候補の筆頭となろうが、全日本選抜選手権優勝の高谷大地(拓大)、国体優勝の池田智(日大)、インカレで高谷を破って2位となった伊藤和真(専大)も優勝戦線に加わってくる実力を持つ。

 日体大はJOC杯優勝の中田陽、早大はインカレ・ベスト8の黒沢翔で上位進出を目指すだろう。西日本学生界からは西日本学生選手権2連覇の有元伸悟(近大)が挑む。

 組み合わせによっては、実力者といえども9位以下(得点0)もありうる激戦階級だ。


保坂健

 【66kg級】

 全日本学生選手権を制した保坂健(早大)を、同2位で昨年の学生王者の砂川航祐(日体大)が追う展開。山梨学院大は同3位の濱本豊(山梨学院大)、拓大はJOC杯60kg級3位の森下大地に、それぞれ上位進出を託す。

 国体3位の近藤達也(専大)が優勝戦線に食い込めるか。


山中良一

 【74kg級】

 国体で世界7位の高谷惣亮を破った山中良一(日体大)に、肩を負傷して戦列を離れていた昨年優勝の島田大育(国士舘大)が挑む。勢いの山中と島田の地力の対決。

 インカレ3位の花山和寛(早大)岩渕尚紀(拓大)が両選手の優勝を阻止するとともに、自らの大学の得点に貢献するか。

 西日本からは、国体3位の椿和浩(九州共立大)、西日本学生選手権優勝の村上貴之(関大)が東日本のが城へ挑む。


赤熊猶弥

 【84kg級】

 2年連続で全日本学生選手権(インカレ)決勝を争った赤熊猶弥(拓大)亀山晃寛(山梨学院大)の争いと思われたが、74kg級でインカレ優勝の北村公平(早大)が参戦。同級の全日本大学グレコローマン選手権で優勝しており、この階級でも十分にやっていけることを証明している。インカレ2連覇の赤熊といえども、きつい闘いになりそう。

 同3位の細谷翔太朗(日大)桜庭正義(日体大)、国体3位の金光輝明(東洋大)らが優勝争いに加われるか。西日本学生選手権3連覇の加藤敬典(中京学院大)の躍進はあるか。


山本康稀

 【96kg級】

 昨年優勝で今年の全日本学生選手権(インカレ)も制した山本康稀(日大)が一歩リードか。早大はグレコローマンが専門だが、フリースタイルでも昨年のインカレ2位の大坂昂に託す。全日本大学グレコローマン選手権のV逸の屈辱を晴らしたいところ。

 インカレ2位の志喜屋正明(国士舘大)、同3位の笹川久志(日体大)鈴木勝一(東洋大)がどこまで食い込めるか。山梨学院大はJOC杯2位の吉川祐介の起用が予想される。

 全日本大学グレコローマン選手権で優勝し、西日本学生選手権の両スタイルで優勝した横井健人(中京学院大)が勢いを持ちこめるか。


オレッグ・ボルチン

 【120kg級】

 全日本学生選手権を制したオレッグ・ボルチン(山梨学院大)を、同2位の岡倫之(日大)、同3位の園田新(拓大)、全日本大学グレコローマン選手権優勝の前川勝利(早大)が追う。難攻不落のカザフスタンからの留学生のが城を破れるか。

 昨年の大会で岡を破り、日大の団体優勝を阻止した田中哲矢(大東大)が、今年も何かやってくれるか。