※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
初代の選手委員長に就任したキャロル・ヒュン(FILAホームページより)
今年2月に国際オリンピック委員会(IOC)理事会がレスリングを中核競技から除外した理由のひとつに、FILAには選手委員会と女性委員会がないことが挙げられ、選手の意見が反映されない組織であることが指摘された。FILAは組織改革を約束し、選手委員会を新設。今年の世界選手権の最中に選挙を行って7人の委員を選んだ。日本からは伊調馨選手(ALSOK)が選ばれている。
現在、女性委員会を含めて17のコミッションの人選と整備が進んでいる。来年9月の総会では、女性の副会長を選出する予定。
ヒュンは2012年ロンドン・オリンピックでも銅メダルを獲得。今年5月にロシア・サンクトペテルブルグで行われたIOC理事会と9月にアルゼンチン・ブエノスアイレスで行われたIOC総会のプレゼンテーションに参加し、女子アスリートの立場からレスリングのオリンピック競技存続のアピールを行った。
選手委員長就任にあたり、「すばらしい名誉です。同時に、選手の声を(FILAに)届ける大きな責任も感じます。選手委員会の委員長として私のやるべきことは、選手がFILAの運営に関心を持ち、積極的な活動をして、世界のレスリング界の環境づくりを支援することです。選手のためのこの委員会は、FILAの活動の重要なポジションです。(FILAの活動は)選手のためにあります。選手委員会メンバーの協力を得て、新しいFILAの行く方向に対して大きな期待を持つとともに、自信を持っています」とのコメントを発表した。
FILAのネナド・ラロビッチ会長(セルビア)は「彼女のレスリング歴は決して長くはないが、レスリングの歴史の一部分をつくった。レスリングの危機を救い、オリンピック競技として存続させてくれた。いま、レスリング史で最初の選手委員委員長として、選手代表の理事となる」と期待を寄せた。