2013.10.21

男子両スタイルの全日本チームが、世界選手権後、初の合宿を実施

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 男子両スタイルの全日本チームは10月20日、東京・味の素トレーニングセンターで合宿をスタート。9月の世界選手権(ハンガリー)で見つかった課題に取り組み、12月の全日本選手権へ向けて技術と体力を向上に取り組んだ。

 高田裕司強化本部長は「世界選手権でメダルがなかったことは、勝たせられなかったコーチにも責任があるか、各自がビデオを見て悪かった点を確認してほしい。コーチから教わるだけではなく、自分で研究することが大切。期間は短いが(24日まで)、ビデオをチェックして十分に反省してほしい」と、今回の合宿のテーマを説明。

 「今年はオリンピックに出た多くの選手が休養していた。来年は出てくる。まだ新しい階級がどうなるか分からないが、全日本選手権が終わって新しい全日本チームになって、そこからが新たなスタート。全日本チームに残りたかったら、自分でやらなければならない」と伝えた。

 世界選手権で7位に入賞しながら国体で不覚を喫してしまったフリースタイル74kg級の高谷惣亮(ALSOK)は、負けてから初めての全日本合宿。「国体の負けで落ち込まず、上を目指してがんばっています。いろんなマイナスポイントが重なって負けることもあります。負けてよかったと思えるように強化していきたい」と、国内で2年5ヶ月ぶりに喫した敗北のショックはなし。

 今回の合宿は「世界選手権で自分のタックルが世界ででも決まることが分かったので、あらためてタックルを磨きたい。タックルに入る前の動きを鋭くすることと、(負けた)イランの選手のタックルを研究し、それを超えられるような筋力トレーニングをやりたい」とのテーマを掲げた。

■グレコローマンは練習内容を大刷新へ

 グレコローマンは、世界選手権の結果をふまえて大改革に踏み切る。全日本合宿では、徹底した体力トレーニングに力を入れるそうで、早朝にランニング、午前にウエートトレーニングなどの体力づくり、午後のマットワークは短時間でスパーリングなどを行い、コーチによる技術指導で時間を費やすことはしないという。

 フリースタイル以上に体力強化が主となるため、今後の全日本合宿は基本的にフリースタイルと別に行う予定。西口茂樹強化委員長は「食事、医科学設備、風呂などがある最高の環境のもとで、精いっぱい追い込む練習をしたい。技術を磨くのは各所属での練習」という指針を掲げた。

 技術習得をしなくていい、という意味ではない。世界選手権に出場したり、他選手のビデオを見て、自分に合った技を身につけていかなければならないと要望するが、それは各所属でやること。そのため、自身が指揮する拓大のほか、日体大や自衛隊などでも他チームの練習参加を今まで以上に歓迎し、所属を越えて技術を伝えていく方針を全日本の各コーチと確認したという。

 全日本合宿でも、練習の前後でアドバイスを求められれば協力するが、合宿の基本は徹底的に追い込むことという。来年1月にはイラン遠征を予定しており、当面、イランの練習についていけるだけの体力アップが目標。

 富山英明強化副本部長は「イランや韓国の練習を見習うことはいいが、真似では勝てない。追い込むことのほか、考えることと身体能力の優れている点を磨くことが大事。1日ならだれでもできる。継続することが必要」と話した。

グレコローマン・チームの方針を聞く選手

田南部力コーチの技術指導を聞くフリースタイル選手

打倒高谷を目指す北村公平(右)が、高谷とスパーリング

世界選手権で、フリースタイル重量級の意地を見せた山口剛

松本慎吾コーチの前で練習するグレコローマン重量級選手

スパーリングのあとと、すぐに砂袋を相手に+αの体力づくりに励む選手