※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【ブダペスト(ハンガリー)、文=池田安佑美、撮影=保高幸子】18歳で世界3位となってもうれしくなかった。7月のユニバーシアード(ロシア)優勝など、ジュニアのみならずシニアの世界でも国内外で成績を残してきた女子67kg級の土性沙羅(至学館大)の世界選手権初舞台は銅メダルだった。日本女子で唯一世界女王が誕生していない階級だけに、今回もそのジンクスを破ることはできなかった。
土性は準決勝で欧州チャンピオンのアリナ・スタドニク(ウクライナ)に逆転のフォール負けを喫したが、3位決定戦で欧州3位のアリン・フォケン(ドイツ)をフォールで下してメダルは死守。日本女子4つ目のメダルを獲得した。しかし、試合後のインタビューで開口一番、「うれしくないですし、納得していない」ときっぱり言い放ち、悔しさを表した。 フォール勝ちで締め、実力を見せた土性
ゴールデンGP決勝大会を含めて数々の国際大会での優勝を経験している土性だったが、世界選手権となると、さすがに緊張してしまった。「ふわふわしてしまった」と初戦のアルゼンチン戦では開始から2度の攻撃で0-4と失点。初戦敗退をにおわせるように動きが悪かった。
徐々に調子を上げて勝ち進み、準決勝のスタドニク戦もタックルや外無双の攻撃で3-0とリードしていたが、そこからの逆転負け。「油断とかなかったんですけど、組まれて気づいたらフォールされていました。すごく悔しかったです」と決勝進出はならなかった。
3位決定戦は、序盤はきっ抗したものの、最後はフォールで締めて銅メダルを獲得。18歳で世界3位は価値ある結果にも関わらず、カメラマンにせがまれても、満面の笑みを浮かべることはなかった。“世界選手権初出場”が経験豊富の土性のレスリングを微妙にゆがませてしまった今大会。ほろ苦い経験をばねに、来年こそ世界女王を目指す。