2013.08.31

次代をになう選手とともに熱気ある練習を展開…男子全日本チーム・菅平合宿

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 8月27日から長野・菅平で男子フリースタイルの合宿を行っていた世界選手権(9月16~22日、ハンガリー・ブダペスト)代表を中心とした全日本チームは、29日に男子グレコローマンが合流。30日は両スタイルでの練習となり(右写真)、報道陣に練習を公開した。

 男子フリースタイルの強化委員長を兼ねる高田裕司強化本部長(山梨学院大教)は「1ヶ月前に韓国でフリースタイルは1週間、グレコローマンは2週間の合宿をこなし、みんな鍛えられている。動きはいい」と、選手の調整ぶりに満足そう。

 世界選手権では最低でも2個のメダル獲得が目標。特に期待する選手として55kg級の稲葉泰弘(警視庁)と60kg級の前田翔吾(クリナップ)を挙げ、「稲葉は世界3位の実績があり、経験が豊富。前田もロンドン・オリンピックの代表とそん色のない実力を持っている。前さばきやタックルに目を見張るものがある」と話した。

 74kg級のロンドン・オリンピック代表の高谷惣亮(ALSOK)も「オリンピック(の初戦黒星)の悔しさをぶつけてほしい」と期待し、66kg級で初出場の井上貴尋(東京・自由ヶ丘学園高教)も国際舞台で実績のある選手と互角の練習ができているとして、上位進出を望んだ。

 「オリンピックの翌年で、休養する強豪選手が多い。どの選手にもチャンスは多い」とも話し、“4年に1度のチャンス”を生かすことを望んだ。

 グレコローマンの西口茂樹強化委員長(拓大教)は「練習パートナーの気合が入っている。若い選手がベテランを突き上げるのが全日本チームの理想の形。そのイメージ通りの練習になっている」と、世界代表選手の頑張りとともに日本代表の座を狙う選手の姿勢を評価。このムードで合宿を続けてほしいと期待した。

 2016年リオデジャネイロ・オリンピックで、男子の実施階級が6階級になることが決まってから、初めての全日本合宿で、選手には多少の動揺や不安が見られるという。

 高田本部長が「選手には『割り切って目の前の大会に全力を尽くせ。何kg級ができる』などと予想をたてるのではなく、今にベストを尽くしてほしい』と伝えている」と話す一方、西口委員長は「新しい階級区分では、(上の階級に上げるより)減量して下の階級に出る」などと決意している選手が多いことを披露。「階級変更を前向きにとらえている」と、動揺よりも、決定を受け入れそれに合わせて強化しようとする選手の姿勢を評価した。

 グレコローマンの主将を務める96kg級の斎川哲克(両毛ヤクルト販売)は「全日本合宿は練習相手になる選手が多く、ピリピリしていていい」と、全日本の緊張感を心地よさそう。韓国遠征では、韓国チームの体力づくりのすごさに当初は驚いたそうだが、慣れてくると日本選手はみんなついていけたそうで、「韓国に劣る部分はない。みんな自信を持った」と振り返り、自信をもって練習の取り組んでいることを強調した。

 フリーススタイルの合宿は31日で終了。グレコローマンは9月2日まで行われる。

フリースタイル期待の前田(右)にアドバイスする高田強化本部長 グレコローマンを引っ張るロンドン・オリン ピック代表の斎川哲克
覆面レスラー? 鼻骨を骨折した松本真也(フリー84kg級)はフェイスガードを使ってスパーリング 練習の仕上げは両スタイルの合同練習。74kg級の高谷惣亮(フリー)と金久保武大(グレコ)の差し合い