※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=樋口郁夫) 圧勝で2連覇を達成した奥井眞生
フォール勝ち3試合とテクニカルフォール勝ち3試合の計6試合に費やした総タイムは5分26秒と、“1試合分”に満たず。ポイント合計は31-0。この数字を示せば、どのくらい群を抜いていたかの説明の必要はあるまい。決勝はコーションで1点を取ったあと、ローリング3回転で一気に勝負を決めた。
奥井は「2連覇できたことは素直にうれしい」と第一声を発しつつ、「決勝は課題の残る内容でした」と意外なコメント。得意なローリングだが、相手に切られてしまい、強引にいってしまったことに不満が残ったという。クラッチをもっと完ぺきに極め、力づくでない理詰めのローリングでなければならなかったのだろう。
今月初めのインターハイは準決勝で白井勝太(東京・帝京)に1-3で敗れ、2連覇を逃した。「自分の動きができず、攻め切れなかった。(昨年王者や全国高校選抜王者としての)プレッシャーが特にあったわけではないのですが…」と敗因を振り返るが、心に中に「心のすきというか、油断めいたものがあったかもしれない」とも反省する。「あの負けにより、今度は常に攻めるレスリングをやろうと決めた。それができた」という今大会だった。 決勝で闘う奥井
この階級は奥井、白井、浅井翼(京都・京都八幡=インターハイ優勝)の3選手が激しく競っていて、現在の高校レスリング界最大の激戦階級。その中で奥井がわずかにリードした感があった最近の成績だが、今年のインターハイの結果でまたも混戦模様へ戻った。
奥井は10月の国体(東京)は優勝した昨年と同じグレコローマンに出場し、3連覇を目指すこと決めているので、“三強”の争いはなく、ちょっぴり残念だが、「実はフリースタイルの方が好きで、大学ではフリースタイルを中心にやろうと思っています」とのこと。三つ巴の闘いは休戦となるが(白井と浅井の闘いは展開されると思われるが)、来年以降、どんな壮絶な闘いを見せてくれるか。
国体で圧勝優勝を飾り、高校生活の最後をしっかりと締めくくりたい。